5日のニューヨーク外為市場で、一時79円台後半まで円が急伸した。

79円台は、3月18日以来約1ヵ月半ぶり。その後、政府・日銀による円売り介入を警戒して、80円台に戻している。

今回ドルが売られた背景にあるのは、アメリカの各種雇用統計が予想より悪化したことと、商品相場が2年ぶりの大幅安になって、資源国であるオーストラリアの通貨や米国株が売られ、リスク回避の動きから円が買われたこと。

震災後、日本は震災の復興プランの規模も内容もいまだ不透明で、先行きに決して明るい材料が揃っているわけではない。にもかかわらず、株価が底割れせず、円が買い進められるのは、相対的に見れば日本経済は欧米に比してそんなに弱くないからだ。

その意味で、円高自体はその動きが急激でなければ、決して悲観材料とは限らない。震災、財政赤字、デフレと、ネガティブな材料がこれだけ揃いながら円高が止まらないという現実を見ると、円高基調は長期に及ぶ可能性がある。

従って、今必要なのは、「いかにして円高を止めるか」ではなく、いかにして強い円を前提とした日本経済のグランドデザインを描くかではないだろうか。その方が現実的だと思えるのだが。(村)

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【5月6日分ニュースクリップ一覧】
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円、一時79円台へ
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