大津波による福島第一原発の事故は、「チェルノブイリ事故に並ぶレベル7」と政府が発表し、日本中が放射能汚染されているかのように世界に報じられている。菅直人首相自身、同原発周辺に「10年住めないか、20年住めないか」と発言したとされ、“風評被害”を広げた。しかし、まったく逆に、「福島第一原発周辺地域は安全だ」と主張する専門家もいる。月刊WiLL6月号に掲載された、札幌医科大の高田純教授(放射線医学)の現地レポートは、重要な情報を含んでいる。以下ポイント。

・4月6日から10日にかけて札幌から東京まで移動し、放射線を調査した。退避圏内の浪江町で、放射線量は毎時0.017ミリシーベルト(健康に影響が出るのが100ミリシーベルト超)。第一原発敷地境界でその2倍程度。チェルノブイリの緊急事態時の1千分の1以下だった。マスクと防護服は必要なかった。

・20キロ圏内のほとんどは、将来立ち入り禁止を解除できるし、放置されている家畜の世話に一時的に立ち入ることにリスクはない。ただ、第一原発の敷地内は高線量。

・今回の調査で分かったことは、周辺住民がレベルC(わずかながらがんリスクが高まる)以上の線量を受けることはないということ。屁でもない極微量の放射線で国全体が騒いでいる。

・チェルノブイリ事故では、129人が重症を負い、うち30人が致死線量に相当する14シーベルトの線量を受け、28人が死亡。福島では放射線による死亡はない。現場の職員もレベルC以下と推察できる。

・チェルノブイリ原発から漏れた放射線量と、福島原発から出た線量は、まったく比べものにならない。政府の対応は過剰。むしろ長期の避難生活による健康被害と経済損失のほうが明らか。これ以上の避難拡大には意味がない。

政府や東京電力などの記者会見を聞いて記事を書いている各メディアの記事よりも、文字通り体を張った現地調査のデータには高い説得力がある。専門家の間でさらに調査を進めてもらいたいが、この情報を知っておくだけでも、菅政権やマスコミの“風評被害”、“報道被害”に対抗できる。(織)

※現在、デイリーニュースクリップは無料でお読み頂けます。近日中に有料購読に移行予定です。


【4月28日分ニュースクリップ一覧】
中国、キリスト教、チベット仏教の弾圧強化
鉱工業生産指数過去最大の下げ~GDPが2桁マイナス?
日本国債の「格付け見通し引き下げ」
人権問題をめぐる中国の対外姿勢