格差拡大による社会不満の広がりを懸念する中国で、政府が「ぜいたくの自粛」を求めるなか、高級車などの販売が記録的な伸びを見せていると、21日付ブルームバーグ・グローバル・ファイナンス(日本語版)が伝えている。

記事によると、中国でのメルセデス・ベンツ社の販売台数は1~3月期に86%増の4万3991台、BMW社は71%増の5万8506台。また、ルイ・ヴィトンやエルメス、プラダなどのブランド品の需要拡大に伴い、中国での高級品売上高は今後5年で2倍強となり、2015年には1800億元(約2兆2600億円)に達するという。

こうした状況に、中国政府は、車購入の優遇税制や補助金給付を打ち切ったり、北京市が、「享楽的生活やぜいたく、外国製品の賛美」を促す屋外広告を禁止している。

共産主義国家の中国で「ぜいたくの自粛」が叫ばれ、それでも国民の消費意欲は衰えない一方、資本主義国家の日本では、デフレで商品価格が安くなる中でも国民の消費意欲は低迷しているという皮肉な状態にある。

両国の違いの根本に何があるか。細かな要因はたくさんあるだろうが、大きなところでは「国の未来を明るいと感じるか、暗いと感じるか」という点にあるのではないか。

実際、昨年の米世論調査会社ギャラップが世界117カ国、各国1000人を対象にした調査では、アジアで「自国経済の先行きは明るい」と考えている国民が最も多かったのは中国の81%。パキスタンの20%に続き、日本は18%でアジア最低だった。

震災後、この数字はさらに開いているかもしれないが、経済活動の「自粛」は日本経済そのものをだめにする。今こそ日本政府は、国民が「日本の先行きは明るい」と感じるような大胆な復興ビジョンを示す必要がある。震災増税などもってのほかだ。(格)

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