19日付日本経済新聞に、厚生労働省が取り組む年金制度改革の原案が掲載されている。おもな内容は以下の通り。
・ 高所得者の基礎年金支給額を最大で半分に減額するなど給付抑制を行う。
・ 高所得者の公的年金等控除を縮減し、応分の税負担を求める。
・ 受け取る年金額が少ない低所得者の基礎年金を加算する。
・ 年金支給開始年齢の引き上げの検討は、事実上、先送り。
改革案の内容は、高所得者の負担を強化し、低所得者への支給を手厚くするという、「富の再配分」の考え方が色濃く反映されたものとなっている。まずは現役世代の高所得者に負担増を求めたが、今後の高齢化に耐える制度になる見通しは極めて薄い。
今回の原案では検討を見送っているが、本誌がかねてから主張しているように、支給開始年齢の引き上げは不可避である。欧米はすでに検討を始めている。より一層、急速な高齢化が予想される日本では、なおさら判断を急がなくてはならない。このまま判断を遅らせれば、負担増になる層はさらに増え続けることになり、消費税増税案などに加えて消費者心理を冷え込ませ、経済成長の大きな足かせになるだろう。(雅)
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