ジョン・ボルトン米元国連大使が、15日付の米紙ウォールストリート・ジャーナルへの寄稿で、「アラブの春」に紛れて影響力を拡大するイランを警戒するべきだと論じている。要旨は以下のとおり。

・イランの覇権志向は急速な核開発と、周辺国を揺さぶって影響下に置こうとする工作に現れている。

・レバノンではイランが支援するヒズボラによって親米政権が覆り、半衛星国であるシリアではイランが民主化デモ弾圧に力を貸している。ガザ地区の武装組織ハマスをイランは支援してきたが、エジプトのムバラク大統領退陣で武器入手がしやすくなった。また、仮にバーレーンで自由選挙が実現すれば、シーア派多数の人口構成を反映した親イラン政権が実現する可能性が高い。

・アメリカがムバラクを見捨てたことで動揺する各国は、イラクやアフガンからの米軍撤退後を不安視しており、オバマ米大統領はイランの影響力拡大に対処する戦略を持ち合わせていないようだ。

・イランが核兵器製造に十分なウラン濃縮技術を持ち合わせていることが、国内反対派からのリークをきっかけに今月明らかになったが、これは国連安保理による制裁が効果的でないことを示している。

・イランが核開発能力を持てば、核開発はサウジアラビアやエジプト、トルコなどにも波及するのは間違いなく、中東はイランの配下に置かれ、アメリカや同盟国にとって不安定で危険な状態になる。

・加えて、アメリカがイランの核開発を見過ごせば、アメリカの地域での影響力は著しく低下し、イランはテロリストやテロ支援国家のリーダーとパトロンの地位をせしめるだろう。

イランを封じる効果的な手をこのまま打てないままでは、ボルトン氏の論じるように、中東は不安定化するだろう。アラブ対イスラエルの核戦争となるのか、あるいはその前にイスラエルが核開発阻止のための先制攻撃に出るのか、いずれにせよ紛争のリスクは高まる。アメリカが主導し、「対話」と「協調」に留まらない、実効力をもった対イラン戦略が早急に必要である。

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