《本記事のポイント》
- 「金」と「ビットコイン」に資金流入
- 仮想通貨には信用の裏付けがない
- 人気がなくなった時のバブル崩壊に注意
経済の先行きが不透明になると、値上がりするのは「金(きん)」と相場が決まっている。しかし現在、仮想通貨も似たような動きをしている。29日付日経新聞は、金やビットコインに資金が流入していることを取り上げた。金は今年の年初から3割上昇、ビットコインは5割上昇している。
背景には、アメリカ経済の回復の見通しが立たず、基軸通貨である米ドルの信用が低下していることを挙げている。同紙は、金やビットコインについて「いったん下げ基調に転じれば、投資マネーの逃げ足は速い」と指摘。先行きが見通せない中、今後も値動きは大きそうだ。
価値の裏付けがない仮想通貨
しかし、仮想通貨を金と同じように扱うのは危険だ。
仮想通貨は金と同様、その「希少性」が価値の源泉にあるとみなされている。仮想通貨にはもともと、発行上限がプログラミングされているものもあるからだ。ビットコインの場合、理論上、百年以上は発行し続けられることになっているが、将来の現実の動きには懸念を示す専門家もいる。
もともと、仮想通貨には信用の裏付けがなく、実体もない。「値上がりする」という期待感のみが裏付けで値段が上がっているという側面が大きい。多くの人が手離し始めれば、一気にバブルが崩壊しかねない。
何に価値を感じ、何にお金を払うのか
17世紀に起きた、オランダの「チューリップバブル」は、珍しいチューリップの球根が急激に値上がりしたことがきっかけだった。「必ず値上がりする」と、チューリップ愛好家以外も高値で取引するようになったが、ついに買い手がつかなくなり、価格は適正価格まで大暴落した。
金も短期的には価格の上下があるが、実体のある貴金属ということで、歴史的な金融危機を乗り越えて価値を維持してきた。
しかし、ビットコインには適正価格すらない。「値上がりする」こと以外に、「将来性」も期待できない。資産を守るための投資対象としては心もとない。
さらに、仮想通貨などの電子マネーは、サイバー攻撃を受ければデータが消え、資産が吹き飛ぶリスクすらある。仮想通貨で決済できる実店舗も増えているが、電気が無ければ作動しないため、災害時に停電が続くなどすればそもそも使えない。日常的な決済手段としても確実ではない。
経済状況が大きく変わる今だからこそ、現実に値打ちのあるものを作り、信用を得ることに価値を見出す必要がある。
7月31日発刊のザ・リバティ9月号には、「MMT、仮想通貨、株バブル『ニセ金造りの経済学』に要注意」とした記事を掲載し、それらの点について詳しく警鐘を鳴らしている。また、経営危機に直面しても、ゼロから道を切り開いた経営者の体験や知恵を取り上げた記事「ゼロから立ち上がる力」も合わせてお勧めしたい。
【関連書籍】
『ザ・リバティ』2020年9月号
幸福の科学出版
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