東日本大震災で救援にあたった米軍人たちは、救援の前や最中、事後にどんな思いを持ったのか。9日付朝日新聞「私の視点」で、在日米海兵隊基地外交政策部次長で元大阪大学准教授のロバート・エルドリッジ氏が、自ら仙台や石巻に入った約2週間の間に接した米兵らの言葉を伝えている。

パイロットで幕僚長のクリストファー・コーク大佐は、東京・横田の在日米軍司令部から被災地に飛び立つ前に言った。「自衛隊が被災者を助ける。我々はそれを支えて新たな歴史をつくる」

戦闘の経験があるマイカル・ハドソン中尉は被災地を歩きながら言った。「少なくとも狙撃はされませんね」

仙台空港の復旧にあたっていたブレアン・ハプケン少尉は、がれきの上を歩きながら話した。「こういうことをしようと思って海兵隊に入ったんです」。彼女の言葉にエルドリッジ氏は涙が出たという。

同氏は仙台や石巻で2週間近く過ごした後、沖縄に戻ることになった。普天間に向けて出発する際、緊密に連携を持った空軍の責任者ドウェイン・ロット大佐に別れを告げに寄った。大佐はこれまでの成果を踏まえ、ほほえんで言った。「私の軍歴で一番満足できる経験になるかもしれない」

氏の寄稿はこう結ばれている。「同盟国日本は悲しみにくれ、支援を必要としている。それを助けるという栄誉に米国の軍人と文民があずかっている。その多くが、大佐の思いに賛同するはずだ」

なんという温かさ、謙虚さ、そして同盟国を助けることへの使命感と誇りに満ちた言葉の数々だろう。日本の自衛隊員も、海外救援活動の際は同じ思いを持つに違いない。米軍が国を超えて示してくれた連帯感と働きに胸が熱くならなければ、人間として恥ずかしい。必ずや日本にできる形で感謝のお返しをしたいものである。(司)

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