2020年5月号記事
幸福実現党 党首
釈量子の志士奮迅
第90回
幸福実現党党首
釈量子
(しゃく・りょうこ)1969年、東京都生まれ。國學院大學文学部史学科卒。大手企業勤務を経て、(宗)幸福の科学に入局。本誌編集部、常務理事などを歴任。2013年7月から幸福実現党党首。
釈量子のブログはこちらでご覧になれます。
韓国不況は他人事ならず
新型コロナウィルスによる混乱で、世界経済の構造が変わりつつあります。その筆頭に挙げられるのが、韓国です。 韓国の国内総生産(GDP)に占める輸出の割合は、43%です。
国別の輸出の内訳は、1位の中国が25%、2位のアメリカが12%と圧倒的な中国依存です。まさに、「中国がクシャミをすると、韓国が風邪をひく」経済構造ですが、今回、中国が"肺炎"になり、韓国は致命的なダメージを受けています。
さらに韓国は、観光業なども中国に依存し、人の行き来も盛んでした。その結果、経済ショックのみならず、ウィルスも侵襲し、韓国は大感染国となってしまいました。
GDPの5%を生み出している同国最大の総合家電メーカー・サムスンでも、工業都市・亀尾の工場で感染者が発生し、一時閉鎖。器興工場でも感染者が確認されました。混乱で技術者も不足し、いつ生産が止まるか分からない状況です。
サムスンの半導体工場が一カ所、数十分間止まるだけで、50億円の損害が出ると言われているだけに、事態は深刻です。
半導体事業の不振で、サムスンの2019年の営業利益は、半分になっていました。そんな中、同社は、新型コロナウィルスの「20分の1」まで微細化された5ナノメートルプロセス半導体の製造を始め、巻き返しを図ろうとしていました。その出鼻を挫かれた形です。
こうした打撃が相次ぎ、通貨ウォンも売られています。1ドル1200ウォンが通貨下落の防衛ラインと言われていますが、その上下をさまよっている状態です。
感染拡大への対応に追われる文在寅・韓国大統領。写真:YONHAP NEWS/アフロ。
経済改革=外交改革
韓国は早急に、経済構造の変革を迫られています。しかしそれは同時に、文在寅政権の外交スタンスの変更も求められているということです。
同政権はこれまで経済的にも政治的にも、中国を後ろ盾にしてきました。だからこそ、低リスクで反日姿勢を打ち出すことができたのです。
北朝鮮への融和姿勢によってアメリカを激怒させるリスクを取れたのも、中国という"保険"があってのことです。
中国経済は、新型コロナショックで第一の衝撃波を受けているところですが、今後、膨らみに膨らんだバブルの崩壊など、第二波、第三波のチャイナショックも考えられます。
文政権は、自由主義陣営に軸足を置いた外交にシフトしなければ、中国経済と共倒れするでしょう。
日本も迫られる価値観外交
隣国の経済危機を紹介しましたが、外需依存・中国依存の危うさは、言うまでもなく日本経済にとっても他人事ではありません。
安倍政権はかつて、「自由と民主主義の価値観外交」を掲げていました。しかし、消費税率の引き上げなどによる内需の冷え込みの中、その初心を引っ込めてしまいます。代わりに、中国と接近することで観光客の誘致などに取り組み、経済浮揚を図ってきました。
そのツケとして、製造業へのダメージ、観光客などを通じた感染の拡大などの"洗礼"を受けています。
政府は3月に入ってようやく、製造業などを中国から国内回帰させる動きを見せ始めました。しかし、延期された習近平・中国国家主席の国賓招来の話をどう着地させるかなど、迷いを見せています。
日本は、中国に頼らない経済構造の改革と、外交姿勢の原点回帰を同時に進めるべき時が来ています。