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《本記事のポイント》

  • 米大学が行った世論調査で、トランプ大統領への黒人支持率が30%超と大幅に上昇
  • オバマ政権時代よりも、トランプ政権の方が貧困層や黒人層の収入が増えている
  • 人種格差を煽って黒人票を獲る民主党の「アイデンティティ政治」に限界か

11月に米大統領選を控える中、ドナルド・トランプ大統領に対するアフリカ系アメリカ人の支持率が上がっている。

複数の米大学が行った世論調査では30%を超えるものも。ここ30年ほど、共和党候補への黒人支持率の平均が10%前後に留まっていることを考えると、驚くほど高い。2016年の大統領選でトランプ氏の黒人票獲得は8%ほどだったが、次の選挙ではこの数字が上がるのではないかと注目されている。

支持率上昇の背後にあるのは、堅調な経済成長だ。

トランプ氏による大規模減税と規制緩和の結果、雇用が増え、失業率はこの50年で最低水準を記録した。特に、黒人の失業率は5.5%とかつてないほど低くなっている。加えて、大統領経済諮問委員会などが発表したデータによると、オバマ政権時と比べて黒人層や貧困層の収入増加率が高い(以下グラフ参照)。

アメリカ国民の所得が大きく「底上げ」されていることが分かる。

【2009年~2019年にかけての収入の伸び率】

オバマ政権トランプ政権
黒人1.8%3.8%
白人2.1%3.2%
下位10%1.9%4.9%
上位10%2.4%3.3%
(大統領経済諮問委員会や労働統計局のデータをもとに編集部作成)

民主党の「アイデンティティ・ポリティクス」の限界

民主党はこれまで、人種間の格差や対立を批判することで黒人票を獲得してきた。しかし、耳障りのいい言葉を唱えるばかりで、実際に黒人層の生活が改善されたかは疑問だ。

トランプ支持を表明している黒人女性コメンテーターのキャンディス・オーウェンズ氏は、「(トランプ氏によって黒人の貧困率が下がったことに対して)民主党議員の一人も称賛を送らないのは、(黒人という)自分たちの奴隷を手元に戻したいからだ」と、民主党を厳しく批判している。黒人が"弱者"でい続けなければ、民主党は人種対立を煽れず、票も獲れないからだ。

トランプ氏によってアメリカの「分断」が進むと言われてきたが、むしろ、民主党の方がよほど分断を進めていたと言える。

弱者救済を謳って票を集める、民主党の「アイデンティティ・ポリティクス」に限界が来ている。

アメリカを「分断」してきたのは誰か

2017年1月の大統領就任演説で、トランプ氏は肌の色にかかわらずアメリカ国民として繁栄を享受できると語った。

It is time to remember that old wisdom our soldiers will never forget: that whether we are black or brown or white, we all bleed the same red blood of patriots, we all enjoy the same glorious freedoms, and we all salute the same great American Flag.

(軍人たちが決して忘れることのない古い叡智を思い出す時が来ました。肌の色が黒色であっても、茶色であっても、白色であっても、私たち全員の中に愛国者の赤い血が流れていることを。私たちはみな、同じ栄光に満ちた自由を享受し、同じ偉大なアメリカ国旗を称えるのです)

その後3年が経ち、まさにトランプ氏が語ったことが現実化してきている。

米リベラルメディアはトランプ氏を「人種差別主義者」と声高に糾弾するが、共和党と民主党のどちらの方が国民の分断を招いているのか、冷静に考える必要がある。

(片岡眞有子)

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