《本記事のポイント》
- 中絶反対派のイベントで現役の大統領として講演。胎児の声なき声を代表
- 民主党議員が中絶を促進する法案を各州で可決
- 生存権の根拠:「この世界に愛をもたらすために生まれてくる」
アメリカのワシントンD.C.では、妊娠中絶の合憲と実施に反対する「いのちの行進」(March for Life)が毎年開催されている。このイベントは、1973年に合衆国最高裁判所が中絶を合憲とした「ロー対ウェイド」判決が出た日の前後に行われている恒例行事である。
「ロー対ウェイド」判決とは、連邦最高裁が女性による中絶の権利を憲法が認めているとしたもの。この結果アメリカでは、各州が独自に人工妊娠中絶を完全に禁止してはいけないことになっている。
イベントはこの判決に反対し、「公共の場にて中絶反対派(プロライフ)の人々を結集、教育、動員することで中絶を終わらせる」ことを使命とするものだ。
24日に開催されたイベントに、今年はトランプ大統領が現役の大統領として初めて登壇しスピーチを行った。
以下、トランプ氏の演説の概要。
母の胎内に宿る胎児を見て、神の創造の偉大さを垣間見る
私たちがここに集っているのは非常にシンプルな理由からです。それは、すでに生まれている子供たちや、まだ生まれていない子供たちの神から授けられた可能性を実現する権利を擁護するものです。皆さんの側に立つことができて、誇りに思います。
ここには若者を始めとして、数万人が各地から長距離バスで集まっています。あなたがたは「いのちの行進」の中核です。家族を大切にする国づくりをしていくのがあなたがたの世代です。
今日ここに集う私たちは全員、一つの永遠の真実を理解しています。それはすべての子供は、神様からの貴重で神聖な贈り物だということです。皆様とともに、すべての人間の命の尊厳さと神聖さを護り、大切にし、擁護しなければなりません。
母の胎内に宿った子供のイメージを見たとき、私たちは神の創造の偉大さを垣間見ることができます。
私たちは生まれたばかりの子供を腕に抱くとき、子供たちが家族にもたらす愛を知るのです。一つの命が世界を変えるのです。
胎児の声なき声を代表する
私は大統領に就任してから、家族と胎児をサポートするための措置を採ってきました。連邦政府の税金がTitle Xと呼ばれる人工妊娠中絶プログラムに使われないようにもしました。
胎児たちは、ホワイトハウスにかつてないほど強力な擁護者を持ったことになります。聖書には、「それぞれの人は素晴らしく創られた」とあります。
世界のいたるところで攻撃されてきた宗教的自由は、わが国でも強く攻撃されてきています。私はこれを止めつつあります。
合衆国憲法を擁護するために、187人の連邦判事を任命しましたし、最高裁判事としてニール・ゴーセッチ氏とブレッド・カバノー氏の2人を任命し、憲法を字義通りに適用する人を選びました。
プロライフの学生たちが大学のキャンパスで自由な言論ができるよう、私は護っています。もし大学が税金を投じてほしいなら、修正第1条で約束されている言論の自由を守らなければなりません。そうでなければ、ペナルティとして罰金が科されます。
中絶を促進する法案を次々に可決する民主党
残念なことに、極左の人たちは、神から与えられた権利を取り消し、信仰に基づいたチャリティや公の場で信仰心を持った人々が発言するのを禁じたりしようとしています。
下院の民主党の幹部は出産直前まで堕胎することに税金が投じられることに賛成しています。
ニューヨーク州では昨年、出産直前に胎児を中絶する法案を喜んで可決しました。
バージニア州では出産直後に子供を殺すことに賛成であると述べています。
上院の民主党員は堕胎を免れて生存した子供たちに対して、医療を提供する法案を阻止しています。そのため私は、妊娠後期の堕胎を禁止する法案を通すよう、下院に要請しています。
すべての命は、全知全能の神の似姿
合衆国憲法修正19条で、女性たちは参政権を与えられました。その権利を行使して、女性たちが戦っているのは「生存権」です。皆様方のお蔭で、私たちの国全体が向上するのです。
私はここに集う方々を祝福して宣言したい。母親はヒーローなのです。あなた方の強さ、献身、やる気が国全体を強くするのです。
私たちは生まれてくる子供たちが、何を成し遂げ、どんな夢を抱き、どんな作品を創り、どんな発見をするのかはわかりません。でもわかっているのは、どのような命も、この世界に愛をもたらすことになるというものです。どの子も家族に喜びをもたらします。すべての人の命は生まれているか胎児であるかに拘らず、守る価値があります。何よりも、すべての人の魂は神聖で、全知全能の神の聖なる似姿なのです。
皆様とともに、我々の国のすみずみまでこの真実を護っていきます。特別な時間となりました。皆様方を代表することができて光栄です。みなさま方を愛しています。
プロライフに冷たかった共和党と民主党
歴代の共和党大統領も、このイベントには遠隔で参加するだけだった。また共和党のエスタブリッシュメントたちも、票をとらないといけないので、プロライフだと宣言するものの、中絶について大っぴらに議論するプロライフの人たちを嫌悪している面があった。
一方、民主党では、中絶は、犯罪や経済的な理由から「必要悪」として行われるべきものだというこれまでの考えを超えて、進んで行われ、祝福すべき行為だという位置づけになりつつある。
ニューヨーク州のアンドリュー・クォモ知事は、中絶についてのほとんどすべての規制撤廃を可能とする法案の成立を祝うためにワン・ワールド・トレードセンターを点燈した。カトリックだった民主党のジョー・バイデン大統領候補も宗旨替えをし、連邦の税金が中絶に投じられるにもかかわらず賛成に回って、プロチョイス(中絶権利擁護派)に媚を売っている。
プロライフの人たちの声を代表する政治家は、共和党にも民主党にも表立ってはいなかったといっていい。
そうした中に登場したのがトランプ大統領だ。臆することなく、「どのような命も、この世界に愛をもたらす」「すべての人の魂は神聖で、全知全能の神の聖なる似姿」と宣言し、プロライフの側に立った。
始原の神の情熱こそ生存権の根拠
幸福の科学でも、妊娠後、満9週目に入ったとき魂が宿るという霊的真実が明らかになっている。では、すべての命が尊く生かされなければならないことの根拠、つまり私たちの生存権の根拠は、どこにあるのか。大川隆法・幸福の科学総裁は、『アルファの時代』で始原の神アルファを招霊した。アルファ神はこう語った。
「 要するに、あなたがたの命のもとは何かと言うと、『始原の神の情熱』なんだよ。情熱が命になっているんで、情熱を吹き込まれたのよ、生きているものはね。『情熱』なんです。『情熱』、『生かしたいという、その強い思い』が命になっているんです 」(『アルファの時代』)
神が人間を生かしたいという強い思いなくして、私たちの命は存在しない。だからこそ聖書にも、「産めよ、増えよ、地に満ちよ」と書かれ、アメリカや日本の憲法でも生存権が保証されている。そして、すべての魂が神の情熱を愛という形で実現するために生まれてくる。
このため妊娠の直前まで中絶を認めるとしたニューヨーク州のような実定法は、多数決で議会を通ったため合法的であるように見えたとしても、本来の「法」の概念から逸脱している。それは神法にも自然法にも反しているからで、神から見れば腐敗した法といってよいものである。
このような法律を神の目から見て合格点が出るようなものに変えていくミッションを背負っているのがトランプ大統領だ。神の世界の善悪を探究している立場だといってよいだろう。
アメリカには福音派の票が欲しいから、トランプ氏は選挙対策としてプロライフの人たちを応援しているのだという声も多い。だがトランプ氏は、唯物化するアメリカを押しとどめ、建国の原点に立って宗教立国化するという目標を実現するために着実な成果を挙げようとしているというのが真実だろう。
レーガン大統領の改革も宗教的自由の革命の精神が根底にあって「小さな政府」の政策が実現した。レーガン政権と同様、トランプ政権の経済的自由主義の運動も、精神的な革命が背景にあるもので、そうした背景を見ずに、「小さな政府」をイデオロギーとして導入しても決してうまくいかない。
日本のマスコミはこうした宗教的革命の側面を矮小化して報じることが少なくないが、国の繁栄の命運は、宗教的自由にあることを忘れてはならない。
(長華子)
【関連書籍】
大川隆法著 幸福の科学出版
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