ハーバード・ケネディ大学のMonica D. Toftとジョージ・タウン大学のTimothy Samuel Shah氏が、3月に出版したGod's century:Resurgent Religion and Global Politics(神の世紀:宗教の再興とグローバル政治)という本の講義および質疑応答を、フォーリン・アフェアーズの電話会議で行っている。

そのなかでShah氏とMonica氏が述べている論点は次の通り。

・1950年代頃から西洋の思想家は、民主化と経済的発展にともない諸国家が世俗的になると予測していた。しかし、宗教が政治において力をもちはじめているのがグローバルな現象だ。
・たとえばブラジルでは、福音主義のペンテコスト派が議会で12%を占めている。南アジアではヒンドゥーナショナリズムの動きがあるし、無神論の土壌が強いと思われるヨーロッパでさえ60%の人が神を信じている(全世界では80%)。宗教を信じる人たちの方が出生率が高い傾向も出ている。
・このような世界的トレンドの原因は、近代化や民主化によって、自分のアイデンティティを宗教に求める人が増え続けていることにある。
・この動きに、われわれはどう向き合うべきか? 政治評論家のチャールズ・クラウトハマー氏の「ムスリム同胞団などを民主的動きから排除すべき」という意見など、宗教政党を排除、制限すべきだとの声もある。
・しかし、そうした制限は間違っている。少しも建設的ではない上、宗教の過激化を招くだけだ。最善の方法は、宗教政党が政治的空間において安定した尊厳ある地位を占めることができるようにすることだ。

記者は同書を未見だが、同書はさまざまな事例を通して、宗教が果たす政治的役割が大きくなっている事実を紹介しているという。こうした本がまずメディアで紹介されるよう、願いたいところである。(HC)

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