池田元久経済産業副大臣が28日の参院予算委員会での発言が問題になっている。
発言は、福島第一原発の事故について「私としては予見しうる最悪の事態を考えている。それ以上は神のみぞ知るだ」と答弁したもの。野党が「当事者としてふさわしくない」と反発し、一時審議が止まったが、その後、陳謝し、撤回した。
確かに「神のみぞ知る」という部分だけを取り出せば、無責任な言葉にも受け取れる。しかし、その前段では「最悪の事態を考えている」と発言しており、特に大きな問題とは思えない。
各メディアが否定的な論調で報じているが、やや“言葉狩り”的な怖さを感じる。発言の無責任さを批判しているというより、震災対策を論じるにあたって「神」という宗教的用語を使ってはならないという意図を感じてしまうからだ。
池田副大臣の真意に深い意味はないだろう。しかし、天変地異は完璧に予測することは、現実問題として不可能であり、「神のみぞ知る」という表現はある意味で正しい。人間の知力を超えたところの自然の力に対して謙虚になり、最善を尽くして防災に当たるというのが、私たちにできることだ。
もちろん防災や復旧・復興のあり方について政府の責任はある。今回の発言も責任回避の意図があったのかもしれない。
しかし、最近の「神」とか「天罰」という言葉に対する過剰とも言える反応には、目に見えぬ存在への畏敬の念を忘れてしまっているように見えるのは気のせいか。(村)

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