写真:Jimmy Siu / Shutterstock.com

《本記事のポイント》

  • "消された遺体"に"別人の母親"!?
  • スイマーがわざわざ全裸で飛び込み自殺……?
  • 警察公開のビデオは"別人"!?

香港における抗議デモ参加者の不審死が相次いでいる。それら"事故"に対する、香港警察の捜査があまりにも杜撰であるため、様々な疑惑を呼んでいる。

その最たる例のひとつが、9月22日に、香港九龍油塘魔鬼山(Devil's Peak)沿岸に全裸少女の遺体が浮かんだ事件だ。彼女は香港の専門学校、知専設計学院(HKDI)に通う15歳の陳彦霖。これまでに何度か、抗議デモに参加していたという。

事件の経緯はこうだ。9月19日午後2時15分頃、陳彦霖は地下鉄の「美孚」駅で友人と別れ、10分後、「今から帰宅する」と友人にメールを送った。その後、失踪し、家族や友人は連絡が取れなくなってしまったのだ。

21日、家族は警察に彼女の行方不明届けを出した。遺体が発見されたのは、その翌日のことだった。

香港警察は10月11日、「遺体に外傷はなく、性的被害に遭った痕跡もない。死因を特定できないが、事件性はない」として「海に飛び込んで自殺した」と断定した。

"消された遺体"に"別人の母親"!?

しかし、家族や友人は陳彦霖の遺体を見ておらず、警察以外、外傷があったのかどうかわからない。彼女の遺体は、警察発表の前日、火葬されてしまっている。

そして事件後、彼女の母親と叔父も失踪してしまった。ところが17日、彼女の母親を名乗る女性が、無線テレビ(TVB News)に出演。娘は精神的に病んでおり、自殺したのだと語った。

しかしその母親も、何かがおかしい。事件が起きる前に、SNSで陳彦霖と写っていた"本当の母親"は短髪だった。しかしテレビに出演した女性は、長髪だった。そのため、「香港警察が、何者かに偽の母親を演じさせたのでは」という観測が飛び交っている。

スイマーがわざわざ全裸で飛び込み自殺……?

「海に飛び込んで自殺した」という状況についても、不自然な点が多い。

陳彦霖は水泳が得意だった。学校の水泳大会にも出場している。友人の証言によれば、5メートルの高さから水中に飛び込んでも、向こう岸へ泳いで行けるスイマーだったという。そうした少女が海に飛び込んで、自殺するのだろうか。

そもそも自殺志願者が、わざわざ全裸で海に飛び込むだろうか。

また、今回のデモが起きてから、何人もの自殺者が出ているが、その多くが遺書を残している。陳彦霖はそうしたものを一切残していない。

警察公開のビデオは"別人"!?

学校や警察は、監視カメラで陳彦霖の行動を調べたとしている。ところが学友らがそのビデオを見た限りでは、かなり編集が施されていた。

警察は、「監視カメラで撮った陳彦霖が学校へ戻って、裸足で歩く姿」とされるものも公表した。しかし報道された写真で見る限り、明らかに顔や肩幅が違う別人が映っている。彼女に似た女子が陳彦霖を演じていた可能性が高い。

こうしたことから、陳彦霖が自殺したという見方には無理があり、香港警察は「何か」を隠している。さて、犯人はいったい何者なのだろうか。香港警察だろうか。それとも、デモ隊を心理的に揺さぶるために香港警察に依頼された、香港マフィア「三合会」(「14K」などのマフィアの連合体)だろうか……。

拓殖大学海外事情研究所

澁谷 司

(しぶや・つかさ)1953年、東京生まれ。東京外国語大学中国語学科卒。東京外国語大学大学院「地域研究」研究科修了。関東学院大学、亜細亜大学、青山学院大学、東京外国語大学などで非常勤講師を歴任。2004年夏~2005年夏にかけて台湾の明道管理学院(現、明道大学)で教鞭をとる。2011年4月~2014年3月まで拓殖大学海外事情研究所附属華僑研究センター長。現在、拓殖大学海外事情研究所教授。著書に『人が死滅する中国汚染大陸 超複合汚染の恐怖』(経済界新書)、『2017年から始まる! 「砂上の中華帝国」大崩壊』(電波社)など。

【関連記事】

2019年10月22日付本欄 習近平氏 「貿易戦争、経済失策、海外の冷遇」で急速に求心力を失う 【澁谷司──中国包囲網の現在地】

https://the-liberty.com/article/16380/