米国の研究者が、震災という悲劇を力に変えるべきという興味深い提言を行っている。25日付産経新聞「正論」欄の要約を紹介する。

提言者は、ヴァンダービルト大学日米研究協力センターのジェームス・E・アワー教授。20年にわたり米海軍に勤務し、日本の海上自衛隊幹部学校に留学したり、米海軍将校として駆逐艦を指揮した。また、1979~88年まで国防総省日本部長を務めた日本通でもある。

(1)日本はさらに安全な原子炉をもっと建設するという決意を表明すべき

・原子力施設の新規建設は復興のエンジンになる

(2)TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)を批准せよ

・日本経済全体を後押しし、打撃を受けた東北地方だけでなく、日本の農業改革をもたらす

(3)2006年に日米で合意した米軍普天間飛行場の名護市辺野古地区への移設を実施せよ

・震災支援でも機動力を発揮した迅速対応戦力である海兵隊のヘリ部隊などを、辺野古近くに確保できる

(4)国防部門としての自衛隊の地位をはっきりさせ、集団的自衛権を行使する権利を明確にせよ

・これこそが日米同盟の長期的な有用性を確実なものにする

長年、安全保障に携わってきたアワー教授らしい提言だが、この悲劇を逆手にとって、原子力、農業、国防、日米同盟をそれぞれ強化すべきという観点は重要だ。

日本国内では毎日のように原発の危険性が訴えられ、菅首相自ら混乱をあおるような発言もしているが、危機の時代だからこそ、政府は大局的な視点からあらゆる点で国を強くする方向に国民を率いていかなければいけない。(格)

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