イエメン政府は23日、憲法を停止し、治安当局の権限を強化する30日間の非常事態法を承認。サレハ大統領はデモ鎮圧の態勢を強化しており、反政府勢力との緊張が高まっている。米外交問題評議会の中東担当上級研究員トーマス・リップマン氏が2月15日の時点で、「次に倒れるのはイエメン政府だ」と予測していたので紹介する。

・  イエメンはもともと二つの国だった。南半分はアラブ人のコミュニティで、この地域で分離独立運動が起きた。この地域が完全に国家に組み込まれていないことが問題だ。

・  一方で、サウジとの国境近くでは反政府派のアル・ハウチが活動しており、この地域にはサウジがこれまでも軍事的に介入してきた。

・  深刻な水不足と農業危機にもかかわらず、サレハ大統領は政治的成果を出していない。水資源の多くはチャット(マイルドな麻薬の一種)の栽培に使われている。

・  政府の統治は大都市にしか及んでおらず、財源も乏しく石油資源もない。

・  さらにアルカイダが拠点を築いており、深刻なテロの問題を抱えている。

・  こうした現実にサウジは神経をとがらせている。サウジとイエメンの関係はアメリカとメキシコの関係に似ている。どちらも隣国からの麻薬・不法移民の流入という問題を抱えている。

サウジの政情安定は石油の安定供給に不可欠だが、バーレーンといいイエメンといい、サウジ国境沿いの問題に同国がどう対処していくか、注目されるところだ。(HC)

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