《本記事のポイント》
- 米映画「トップガン」の続編から日の丸と台湾国旗が消えた
- 中国資本による影響だとする憶測が飛び交っている
- 資金力で映画界の覇権を拡大する中国に対し、日本はメッセージ性で勝負をかけるべき
米ハリウッドが、中国資本の前に屈しているようだ。
1986年に公開され、全米で大ヒットしたハリウッド映画「トップガン」の続編が2020年の夏に公開を予定。34年ぶりとなる続編にファンから喜びの声が湧く一方で、予告編の映像が議論を呼んでいる。
前作では、主演のトム・クルーズが着用しているレザージャケットの背中に日本と台湾の国旗が大きく縫いつけてあった。しかし、続編の予告編では色合いだけ似た別物に変わっている。中国ネット大手「テンセント・ピクチャーズ」が同作品に出資していることが影響しているのではないかと憶測が飛び交っている。
ロンドンに拠点を置くジャーナリストのマーク・マッキノン氏がツイッターで指摘し、反響を呼んだ。
There's a new Top Gun movie coming out. And Maverick is wearing the same leather jacket - only this time it's Communist Party of China-approved, so the Japanese and Taiwanese flag patches are gone (screenshot on right is from the new trailer)... pic.twitter.com/gUxFNFNUKX
— Mark MacKinnon (@markmackinnon) July 19, 2019
米議員からも異議の声が挙がっている。米上院議員のテッド・クルーズ氏は米保守サイト「ワシントン・フリー・ビーコン」の取材にこう述べた(26日付)。
「トップガンはアメリカの古典作品であり、ハリウッドの精鋭が中国共産党に譲歩してしまうことは残念でならない。中国共産党は、中国の経済力によって、その残忍な抑圧に対する異議の声を黙らせ、台湾のようなアメリカの同盟国の主権を浸食している。ハリウッドは言論の自由のために立ち上がることを恐れ、中国共産党による反台湾のキャンペーンを可能にしてしまっている」
2016年には、元人民解放軍司令官の王健林氏が率いる中国不動産大手・大連万達集団(ワンダ・グループ)が、「ジュラシック・ワールド」や「パシフィック・リム」などを手掛けるハリウッドの大手映画会社「レジェンダリー・ピクチャーズ」を買収。中国共産党による映画界への影響力は、ここ数年で確実に強まっている。
中国が資金力によって映画界での覇権を強める中、日本の勝ち筋としては、普遍的なメッセージを込めた良質な作品を生み出し、影響力で勝ることだろう。時として社会情勢をも変える力を持つ、映画界の活性化が求められる。
(片岡眞有子)
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