「大人のひきこもり」が話題に上っている。

川崎市多摩区で小学生らが襲われ20人が死傷した事件で、自殺した50代の容疑者が長年引きこもりに近い生活を送っていたと報道された。

さらに東京都練馬区では、元農林水産事務次官が同居する40代の長男を刺殺する事件が発生。元次官は取り調べで、川崎の事件の犯人と、定職につかず親の援助で暮らす長男を重ね、「息子が周囲に危害を加える恐れがあると思った」などと供述している。

内閣府が3月に発表した調査結果によれば、40歳から64歳までの中高年の引きこもり数は61万3000人にのぼる。この数字や一連の事件をふまえ、テレビやインターネット上では、「大人の引きこもり」が盛んに取り沙汰されている。

不登校児支援スクール「ネバー・マインド」に携わり、「大人の引きこもりの集い」を定期的に開催している木全聖子さんに、大人の引きこもりについて聞いた。

──一連の事件について、どう感じられていますか。

非常に悲しい事件で、二度と起きてはならないことですが、報道やネット上などで、「引きこもり=犯罪予備軍」と捉えられるような発信が多く、危機感を覚えました。間違った認識が広がってほしくないと感じています。

──「大人の引きこもり」はなぜ起きるのでしょうか。

まず、どんな子供やどんな人でも、不登校や引きこもりになりうることを知っていただきたいです。

不登校児に共通しているのは「何らかの悩みや不平不満を解決できない」ということです。

そして、その悩みや不平不満の根本的な解決方法を、ご両親や先生も教えられないことが多く、子供の心がパンクしてしまうのです。

現代では、かつて大人が子供に伝えてきた「足ることを知る」「執着しない」などの道徳的・宗教的な考え方を教えなくなったこともあり、子供たちは小さな悩みや不平不満を自分で解決できなくなっています。そして心がパンクし、学校に行けなくなってしまいます。

引きこもりの方も、根本を見れば同じ問題を抱えていることが多くあります。子供のころに、悩みや不平不満を解決できないまま大人になってしまい、その結果、劣等感が強く、自己肯定感が低い傾向があります。

そして、「人からどう見られるか」を気にしすぎてしまい、失敗を恐れ、外に出ることができないのです。

──引きこもっている方の社会復帰のために、家族はどうサポートするべきでしょうか。

お子さんが引きこもってしまった場合、親御さんはさぞお辛いこととお察しします。ただ、「このままどんどん悪くなる」「犯罪者になるかもしれない」と絶望しないでいただきたいです。未来に希望はいくらでもあります。

お子さんを変えたいと願う前に、まずは親御さんが、お子さんに対する見方を変えましょう。私たちは神仏につくられた存在ですから、誰もが心の中に、仏と同じ性質である"仏性(ぶっしょう)"を持っています。

お子さんのいいところを思い出してみましょう。「声をかけたら『うん』だけでも応えてくれる」「子供のころは理科が得意だった」など、どんなことでも構いません。その"仏性"の輝きを見つめてみましょう。

そして、お子さん本来の素晴らしさを素直にほめてください。声をかけられないなら、心の中で語りかけてみましょう。続けていれば、家庭が少しずつ光で満たされ、必ずお子さんにも変化があるはずです。

──暴言を吐いたり、暴力をふるったりする場合、どうしたらいいでしょうか。

感情の起伏が激しく、人が変わったように暴れ出したり、ひどい言葉を言ったりする場合は、スピリチュアルな目で見れば、悪霊(あくれい)の影響があります。

悪霊は、かつてはこの世で、怒りや憎しみなどのマイナスの思いを数多く持って生き、死後、地獄界というところに棲みついている霊です。

彼らは自分たちと同じ思いを持つ人間に憑りつき、マイナスの思いをもっと強くさせます。暴言や暴力などの行為には、悪霊の影響が大きいと見て間違いありません。

「子供が暴れるのは私のせいだ」と思い込む保護者の方もいますが、悪霊は心が「同通」しないと、憑りつくことができません。お子さん自身が心を見つめ、悪い思いを改めなければ、悪霊は何度もやってくるため、根本的な解決にはならないでしょう。

そのためにも、まずは保護者の方やご家族が、正しい思いを持つことが大切です。大川隆法・幸福の科学総裁は、書籍『 幸福へのヒント 』で、家庭内暴力や登校拒否の解決法について、このように述べています。

やはり、対策としては、光を強くすることに専念する以外にありません。親の光が強くなってくると、子供への霊的な悪影響は弱まり、子供はどんどん直っていきます。そのためには、親が仏法真理を勉強するのが最も効果的です。そして、『家族全員が力を合わせて、なんとかやっていこう』とすることです

特に大事なのは、当会が掲げている『正しき心の探究』です。心のあり方が間違っているのですから、家族全員で正しき心の探究を実践していくことが必要なのです

実際に、私が関わった引きこもりの青年は、親御さんがお子さんに対する見方を変え、仏法真理を真剣に学ばれたことで、少しずつ変わっていかれました。ほとんど家から出ず、誰とも会っていなかったのに、元同級生と連絡を取って会いに行ったり、履歴書を買ってきて書いてみたり……。年齢は関係ありません。いくつからでも、脱却は可能です。

まずは親御さんが見方を変えることから、全ては始まります。「この子はこういう子だからどうしようもない」「子育てに失敗した」と思わず、どうか前向きに、お子さんのいいところを見つめることから始めていただきたいと思います。

「大人の引きこもりの集い」は、私たちがフリースクール「ネバー・マインド」で不登校児と接し、多くの子供たちが復学できた実績をもとに活動しています。

不登校と引きこもりの根本には、同じ問題があります。不登校解決のメソッドを応用することで、スタートして1年余りですが、少しずつ実績も出ています。

引きこもりで悩まれている方や、保護者やご家族の方は、どうか1人で悩まないで、私たちにご相談ください。引きこもりも、不登校も、必ず解決できます。私たちと一緒に、その不安や絶望を、希望に変えてまいりましょう。

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「大人の引きこもりの集い」は、定期的に集いを開催。情報共有などのほか、当事者や家族の個別の悩み相談なども行っている。

「大人の引きこもりの集い」メールアドレス: qsainetwork777@gmail.com

【関連書籍】

幸福の科学出版 『大丈夫、不登校は解決できる。』 不登校児支援スクール ネバー・マインド編

https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1470

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2018年7月号 「大人のひきこもり」からの再起 支えられ、やり直せる街づくり / 地域シリーズ神奈川

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2015年9月号 不登校はこうすれば解決できる - 再登校率96%以上の支援スクールが実践する「新常識」

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2005年9月号 大人の「引きこもり」について(上)

https://the-liberty.com/article/271/

2005年10月号 大人の「引きこもり」について(中)

https://the-liberty.com/article/277/

2005年11月号 大人の「引きこもり」について(下)

https://the-liberty.com/article/286/