《本記事のポイント》
- 米議員が太陽光発電市場からファーウェイ排除を求める
- アメリカでは、ファーウェイ製品を使えば、有事で停電するリスクを懸念
- 日本も、インフラに対するサイバー攻撃への対応策を強化しなければならない
世界各地の5Gネットワークから排除されつつある中国通信機器最大手のファーウェイ。
アメリカの中央情報局(CIA)はこのほど、ファーウェイが人民解放軍などから資金提供を受け、中国共産党の統制が効く企業である可能性を指摘した。
世界から厳しい目を向けられているファーウェイだが、実は、太陽光発電市場では、確固たる地位を築いている。
ファーウェイは2015年以来、太陽光発電の機器パワーコンディショナ(PCS)の出荷台数で3年連続世界1位。日本でも大手企業と取引を行い、コストパフォーマンスが高い同社の製品を採用する企業が増えている。
米議員がファーウェイ排除を求める
そうした中、米上院議員11人からなる超党派グループが2月に、太陽光発電市場からファーウェイ製品の排除を要請した。
それを求める書簡には、「大規模な太陽光発電システムも、住宅や学校、民間企業で使用されている太陽光発電も、等しくサイバー攻撃に脆弱な状態にある。連邦政府はファーウェイ製インバーターの米国内での使用禁止を検討すべき」と記されている(インバーターとは、日本で言うPCSのこと)。
ファーウェイのリスクについて、米下院エネルギー・商業委員会のボブ・ラッタ委員は「エネルギーインフラの安全が確保され、復元力も高いと保証することは決定的に重要だ。一国の政府がエネルギーインフラのハッキングを狙っていることが明確な今、我々が使う技術についてこれまで以上に注意を払うことが不可欠だ」と述べている。
PCSは、さまざまな通信や計測機能などが組み込まれ、電力量のデータを第三者に提供する機器である。そのため、何者かがPCSに不正アクセスし、停電が起きかねないという懸念が起きているわけだ。
PCSの内部には、外部からのアクセスを可能にするバックドアがあるのか否か、指数関数的に増えるデータをどのように処理しているのかなど、不透明な点は多い。
だが現状としては、中国政府の息がかかった企業に情報を提供することに対し、安全保障上のリスクはないとは言い切れない問題がある。
日本では現在、地方創生の一環として、ファーウェイのPCSを搭載するメガソーラーが全国各地で建設されている。しかし、地方創生を進めた結果、日中の間で有事が起きた際に、停電が起きれば元も子もない。
ファーウェイの安全性に疑いの目が向けられている今、同社はPCSの内部構造を公開し、身の潔白を証明する必要があるだろう。日本としても、サイバー攻撃からインフラを守る体制を整えなければならない。
(山本慧)
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