《本記事のポイント》
- 日産婦が胎児の染色体異常を調べる「新型出生前診断」の拡大案を表明
- インターネット上では賛成の声も多く上がる
- 「障害があっても魂は健全」という霊的人生観が社会常識になれば出生前診断は不要に
妊婦の血液から胎児に染色体異常がないかを調べる「新型出生前診断」について、日本産婦人科学会(日産婦)が9日、他学会を交えた委員会で、検査できる施設の拡大案を表明した。
新型出生前診断は採血により、妊婦の血液に含まれる胎児のDNAからダウン症、13トリソミー、18トリソミーの3つの疾患の可能性を調べるもの。従来の出生前診断「羊水検査」よりも容易で安全とされている。日本では2013年より診断が開始された。
日産婦は現在、新型出生前診断が可能な施設の指針として、「産婦人科医と小児科医が常勤し、どちらかは遺伝専門医の資格を持ち、さらに遺伝の専門外来を設置しており、十分なカウンセリングが行える」、などの要件を定めている。診断を受けられるのは原則35歳以上の妊婦に限定され、現在は大学病院など92カ所の認可施設でのみ診断可能だ。
このほど出された拡大案では、要件を緩和し、研修を受けた産婦人科医がいる分娩施設なら検査を認めるといった指針が出されている。
結果次第では診断を受けた妊婦に「中絶か、出産か」の重い選択を迫ることになることなどから、「産婦人科医のみでは十分な説明やカウンセリングができないのではないか」など、拡大に反対する意見もある。
染色体異常が確定した9割以上が中絶を選択
2018年9月までの5年半で、約6万5千人が新型出生前診断を受け、うち胎児に染色体異常が確定した886人の9割以上が中絶したという統計が出ている。
拡大案に対して、インターネットの反応を見ると、「年齢制限などもやめ、希望する妊婦全員に診断を受けられるようにするべき」「陰性だと早めにわかれば安心して出産に臨める」「障害児を育てるのは、きれいごとでは済まされないので拡大はよいこと」など、歓迎の声が目立つ。
晩婚化により、出産年齢も高齢化の一途を辿る現在では、障害児を育てることに対する不安や、周囲の人の声、経済的な問題などさまざまな理由から、新型出生前診断の拡大案に賛成する声が広がっているようだ。
しかし、「健常者と違っているから不幸」「"普通"の日常生活を送れないから、生きる意味がない」のだろうか。宗教的な観点から見れば、障害者にも明確な生きる意味がある。
「人間の本質は魂であり、障害があっても、魂は完全」
大川隆法・幸福の科学総裁は、「人間の本質は魂であり、障害があっても、魂は完全」と説いている。そして、こうした宗教的真理を背景に障害者支援を行う一般社団法人「ユー・アー・エンゼル」では、重い知的障害を持つ小学生が字を書けるようになる、寝たきりの重度重複障害者と呼ばれる少年が、スイッチワープロを使って美しい詩を綴るなどの事例が報告されている。
知的障害といっても、自分の思いを上手に表現できないだけで、自分の意思や思考を持ち、健康な人と同じように周りの人の言うことを理解していることの証明といえる。
さらに大川総裁は、書籍『 じょうずな個性の伸ばし方 』で、「障害を持つことは菩薩行でもある」と説いている。
「 障害など、いろいろな悪条件を持っている人も多いと思いますが、実は、まわりの人に何かを教えたり、まわりの人の性格を優しくしたりする修行もしているのです。まわりの人たちは、そういう人から逆に教わっているわけです 」
「 こういう言い方をすることは、障害児本人やその保護者に対して申し訳ないことかもしれませんが、そういう不幸な人がいることは、慢心し、うぬぼれて、親や他人を恨んだり、世の中や国を恨んだりする人にとって、反省をするよすが(きっかけ)にもなっています。その意味で、そういう人がいてくださるのは、ありがたいことなのです 」
「 何らかの障害を抱えていることについて、どうか、『これは菩薩行の一部でもあるのだ。本人は大変だけれども、ほかの人を教えているのだ』ということを知っていただきたいと思います 」
「障害=不幸」という考え方は、障害者やその家族を取り巻く状況に影響される部分も大きい。「障害があっても魂は健全」「障害を持つことは菩薩行」という宗教的な価値観を持つ人が増えれば、社会もあたたかいものに変わるだろう。今、必要なのは新型出生前診断の拡大よりも、宗教的価値観や、霊的人生観を多くの人が知ることだ。
(駒井春香)
【関連書籍】
幸福の科学出版 『ヘレン・ケラーの幸福論』 大川隆法著
https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1342
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