10日に米国議会でイスラム急進主義に関する公聴会が始まる。これに対し「イスラムへの偏見を助長する意図だ」と怒りの声も上がっているが、10日付インターナショナル・ヘラルド・トリビューン紙でアメリカン大学のアクバル・アフメド教授は「公聴会はアメリカを教育するいい機会だ」と積極論を唱えている。例えば(要約抜粋)、
・アメリカ人の多くが宗教動機のテロを怖れる中で、ムスリムが公聴会に反対し中止させようとすれば、「何か後ろ暗い秘密を隠そうとしている。非アメリカ的な(un-American)やり方だ」と思われてしまうだろう。
・ムスリムについて無知なアメリカ人が多すぎる。例えばアメリカのムスリム社会は、アフリカ系アメリカ人、中東・南アジア移民、白人の改宗ムスリムの3つに大別されるが、こうした多様性すら無視されている。
教授は論考をこう結ぶ。「国内のムスリムは米国の文化や歴史をもっと知るべきだ。アメリカ人の側も真摯にムスリムを理解してほしい。アメリカ建国の父たちが賞賛に値する理由の一つは、彼らが本当の意味における多元主義的(pluralist)社会を理想としていた点にあることを忘れてはならない」
偏見や恐怖の原因は、相手を「知らないから」であることが多い。公聴会であれ何であれ、自分たちの実態を知ってもらうチャンスに変えようという姿勢に拍手を送りたい。(司)
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