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《本記事のポイント》

  • オバマ政権のレガシーは、最低の経済成長しか遂げられなかったこと
  • 福祉政策のための増税が、経済を失速させた主たる要因に
  • オバマ氏の負の遺産を受け継いで、経済成長をけん引するトランプ大統領

米中間選挙の投開票が始まった。日本時間7日午後には大勢が判明する。

これまで下院の投票先では、民主党の優勢を伝える世論調査が多かったが、選挙を前に共和党と民主党との差が徐々に縮まっている。

選挙の終盤で共和党の追い上げに貢献しているのは、「景気の良さ」だろう。労働省が2日に発表した10月の雇用統計によると、非農業部門就業者数は25万人増加し、トータルで450万人を超える雇用が生み出された。

失業率も3.7%で、1969年以来49年ぶりの低水準。つまり「完全雇用」に近づいている。平均時給は前年同月比で3.1%上昇し、リーマンショックの2008年以来、10年ぶりの高い伸びを示した。「暮らし向きが良くなった」と答えた人も、87%に上った。

要するに、アメリカ経済は絶好調というわけだ。

景気回復はオバマ大統領のお蔭?

そんな中、中間選挙で民主党議員の応援演説にかけつけるオバマ前大統領はこう述べた。

「経済成長は誰が始めたと思う? 僕(オバマ)だよ」

好景気はオバマ政権のお蔭というわけだ。しかし、本当にオバマ政権の成果なのだろうか。

2016年の米大統領選を思い出していただきたい。オバマ氏は「America is still great(アメリカはまだ偉大だ)」と言ってトランプ氏に挑戦していたが、アメリカ人でそう感じている人は多くなかった。

「景気が良いか」という問いに対し、3人に1人しか良いと答えておらず、半数以上のアメリカ人が、「アメリカは正しい方向に向かっていない」と答えていたのだ。

何がそうさせたのか。確かに、オバマ氏は大不況をつくったわけではないし、リーマンショックの後遺症を受け継いだのも事実だ。だが、オバマ氏の間違った政策により、経済の収縮が長引いてしまった。

オバマ氏は2008年の大統領選挙中から、所得の再配分をよしとし、経済成長に否定的な政策を公約として掲げていた。アメリカ合衆国の歴史の中でも「最もリベラルな政策」を掲げる大統領が選ばれると見た結果、市場関係者は2008年に株を売り払った。リーマンショックから国を救うために当選したにもかかわらず、就任当初の市場の反応は、まったく逆だった。

オバマ政権下の景気後退からの回復は、最も弱いものだった。中所得層の収入は、2014年にも下がり続けている。

経済成長率を比較すれば、レーガン政権は年率GDP4.7%で成長し、オバマ政権は2%台の成長しかしていない。もしレーガン政権並の成長率であれば、GDPは3兆ドル増えたという試算もある。

超党派の議員による合同経済委員会(Joint Economic Committee)も、「オバマノミクスのレガシーは経済成長において最低であったことだ」と結論付けている。

フード・スタンプが経済を刺激する!?

「経済学者が合意しているところによりますと、失業手当こそ経済成長させる一番の方法だということです。失業手当に1ドル使うと、1.52ドルか2ドル、経済成長するとの見積もりがあります」(2009年、ナンシー・ペロシ民主党議員)

これはオバマ政権時代に下院議長を務めたナンシー・ペロシ氏の言葉だ。この言葉に象徴されるように、オバマ政権は「経済成長は福祉から始まる」と理解し、国民に増税を強いた。

オバマ氏は、「福祉を受けることを恥ずかしいと思うべきではない」と語っていた。多くの都市では、低所得者向けに配られるクーポンであるフード・スタンプは、"第二の通貨"として通用していた。

さらに、国民は政府から貧困層に認定されると、州の平均値で約28000ドル(約300万円)が支給された。シカゴ大学の経済学者ケイシー・マリガン氏によると、「貧しい家庭は働くインセンティブを失った」という(2013年10月2日付ウォーストリート・ジャーナル紙「How ObamaCare Wrecks the Work Ethic」)。

オバマ氏は黒人やマイノリティーの貧困層を増やした

オバマ氏の意図とは逆に、黒人の失業率も悪化した。

10代の黒人の失業率は、2011年に30%に上昇し、史上最低の結果となった。2014年には、18歳から34歳の黒人男性の3人に1人が失業するか、刑務所に入っていた。

アメリカでは、フルタイムの仕事に就く人の2.3%、パートタイムの仕事に就く人の15%が貧困層だと言われている。つまり、貧困層から抜け出すには就労することが近道になる。

トランプ氏が450万人超の雇用を生み出した結果、400万人が貧困層から抜け出し、2018年には、黒人の就労者数はオバマ政権以前に回復。黒人の失業率は、ここ46年で一番低くなっている。

それでもトランプ氏が「人種主義者」というレッテルを貼られているのは、彼の功績を正しく見ていないからだろう。

アメリカ国民はトランプ大統領の功績を正しく評価できるか

トランプ政権の行政管理予算局長ミック・マルバニー氏は、「2016年の選挙の日から、消費者マインドや景況感が変わりました。まだ何も変わっていない時点で、これからは変わる。(国民は)我々から奪い取らないし、投資をしても安全だと思ったのです」と述べている。

オバマ政権時代は、新しくビジネスを始める比率も激減。ミレニアム世代(1980年~2000年代初頭に生まれた若者の総称)は、起業率が低い世代だと言われてきた。当時は投資に相応しい環境ではなかったからだ。

2016年のアンケートでは、「経済は好調か」と問われ、アメリカ国民の約30%は「景気は良い」と答えていたが、2018年に「良いまたは素晴らしい」と答えた人は、70%を超えた。

つまり、トランプ氏が勝利した2016年の大統領選は、オバマ政権の経済政策の失策に対する国民の「審判」だった。

「Change!(チェンジ)」「Audacity of Hope(大胆な希望)」など、オバマ氏はその威勢のいい言葉とは裏腹に、史上最低の経済成長しかレガシーとして残せなかった。むしろ、極端な福祉政策で国民を堕落へ導いた。

現在トランプ氏は、オバマ氏の経済政策の負の遺産と戦い、減税や規制緩和で経済をけん引し始めた。中間選挙は、アメリカ国民がオバマノミクスとトランポノミクスとの違いを正しく評価ができるかにかかっている。

(長華子)

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