72年ぶりとなるコメ先物の上場が実現に向けて動き出した。
東京穀物商品取引所と関西商品取引所は8日、農林水産省にコメ先物の試験上場を申請した。先物取引を活用すれば、公正な価格形成が期待でき、農家にとってはコメの価格変動のリスクを軽減できるというメリットがある。対象となる銘柄は東穀取が「関東産コシヒカリ」で関西商取が「北陸産コシヒカリ」とする。6月末に農水省が認可すれば、7月にも取引が始まる。
2005年にも先物上場を申請したことがあったが農水省の「生産調整に支障をきたす」などという理由で認められなかった。しかし、民主党政権になって戸別所得補償制度が導入されたことで、コメの価格決定は市場に委ねる方向に変わりつつある。
日本の場合、先物取引は“投機”のイメージが強いが、実際には農家や商社などの実需を担う部門にとってはリスクヘッジの手段として重要な機能を持っている。その観点から日本は江戸時代(1730年)に大阪で先物取引が世界に先駆けてスタートしたという歴史を持つ。グローバルな市場での食料の需給体制に対応するためにも、社会主義的な農政から脱皮する必要がある。コメ先物上場ができるかどうかは、その試金石となる。(村)
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