9月30日発売の本誌11月号では、特集「『将の器』がGDPを再び伸ばす『人格経営』のすすめ」というリーダー論を取り上げました。バブル崩壊後から続く経済停滞は、「人材がいない」ことが主因であり、組織のトップ層が持つべき徳目を紹介しています。

本誌では登場しませんが、優れた経営者の一人としてよく名前が挙がるのが、富士フィルムホールディングス代表取締役会長・CEOの古森重隆氏です。

古森氏は2000年に富士フィルム社長に就任しました。当時、同社の売り上げの6割を占めていた一般写真市場は、デジタル化の波に襲われていました。古森氏は、同社を写真フィルム中心の会社から、医療機器や化粧品、液晶用フィルムなど、6つの分野からなる多角化企業にイノベーションさせ、業績のV字回復に成功したのです。

56歳で富士フィルム・ヨーロッパ社長としてドイツに赴任した際、ドイツ人スタッフの間では、「日本から本当のサムライがやってきた、『スーパー日本人だ』」と噂されたといいます。

本欄では、気概のある「サムライ経営者」といえる古森氏の経験や考えを参考に、リーダーとしての仕事法や資質、徳目について考えてみましょう。