英国のエリザベス女王が隣国のアイルランドに公式訪問することが決まった。

英君主がアイルランドを訪問するのは1911年に祖父のジョージ5世がダブリンを視察して以来、実に100年ぶりとなる。日程はまだ公表されていないが今年中には訪問する見込み。

アイルランドは12世紀以降、英国に征服されて植民地となり、1800年には併合されている。独立を果たしたのは1937年だが、98年の北アイルランド和平合意までは、北アイルランドの帰属を巡ってテロが頻発していた。

昨今は両国の関係が改善されつつあるため、今回の訪問となった。しかし、両国が本当に強い信頼関係を結ぶためにはある程度の時間が必要だろう。

両国の関係の背景には、宗教的対立があるからだ。象徴的なのは、1649年にピューリタン(プロテスタント)のクロムウェルがカトリック国であったアイルランドに侵攻した事件で、前世紀に3000人以上の犠牲者を出したテロも、プロテスタントとカトリックのそれぞれの過激派が起こしている。侵略した側とされた側という不幸の歴史を背負いつつ、宗教的信条の違いをどう乗り越えていくか。ハードルは高いが、今回の公式訪問がその最初の重要な一歩になることを祈るばかりだ。(村)

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