米外交問題評議会中東担当シニア・フェロー、エリオット・アブラムス氏がフォーリン・アフェアーズのインタビューに答えて、カダフィ後のリビアについて予測している。

・ 仮にカダフィが国外に脱出した後、新政府を組織できる指導者はいるのか?──国家として歴史の長いエジプトと比べて、リビアは1951年まで国の体裁をとっていなかった。政治を運営できるエリートとして可能性が残されているのは、世界各地にいるリビアの大使たちである。

・ だが最大の問題は、制度らしい制度がないことだ。カダフィが40年にわたり制度構築を阻止してきたからである。またもしカダフィ政権が倒れれば、暫定政権が必要になるが、問題は、ベンガジ、トリポリなどに、1つではなく、2つか3つの暫定政権が誕生する可能性があることだ。

・ 地域的な区分と部族の区分も完全に重なり合っていないし、石油産出地が東と西に分かれているため、国を一つにまとめるには、原油による輸出の収益を誰がいつどのようにして得るのか、調整する必要がでてくる。

・ 国家建設の経験がほとんどないだけに、この実現は簡単ではない。

・ 部族間のバランスと妥協が必要で、安定には欠けるが、レバノンのような憲法で宗教集団の担当を区別し、バランスをとる必要があるかもしれない。

リビアで最初にエジプトの体制変革を祝福したのがムスリム同胞団だったことを考えれば、長く抑圧下におかれてきた彼らが勢力として台頭するかもしれないと言われている。オバマ大統領は、リビア内乱に乗じてイスラム過激派が勢力を拡大することを恐れているが、今後の混沌は避けられないかもしれない(HC)。

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