写真:(左)LFCの倉庫で働く従業員。(右)オムロン京都太陽の工場で働く従業員。
2018年5月号記事
働く障害者が「人生の意味」を教えてくれた
4月から民間企業の障害者の法定雇用率が2%から2.2%に引き上がる。障害者雇用は「社会貢献」として語られることが多いが、本当にそれだけなのだろうか。
(編集部 小林真由美)
「人間は、障害があってもなくても、仕事を通して人の役に立ち、多くの方から感謝されることで幸福になれる存在です」
こう語るのは、大阪府在住の山中康弘さん。脳性麻痺の障害がありながら障害者の就職を支援する「バリアフリーオフィス」を経営している。
日常生活に支障をきたす重い障害がありながらも、経営や講演活動などを積極的に行う姿は、多くの人に勇気を与えている。
増える障害者雇用
今年4月からは、民間企業における障害者の法定雇用率が2%から2.2%に引き上がる。これまで算定基準に含まれていたのは身体・知的障害者のみだったが、これからは精神障害者の雇用も算定基準に含まれる。
こうした変化を受け、今後、障害者雇用を始める企業が増えることが見込まれるが、多くの企業において、障害者雇用は「コスト」と位置付けられているのが現状だ。
そんな中、障害者の持つ力を引き出し、働く喜びを提供しながら、業績を上げる企業もある。
大手電気機器メーカー「オムロン」は、障害者雇用が普及していなかった時代から、「保護より機会を」をモットーに、障害者の就労を支援する特例子会社を設立。同社の社員は、地域のスポーツ活動や小中学校での人権研修の講師を務めるなど、地域にも貢献している。
また、岐阜県にあるアパレル物流会社「LFC」は、障害者も健常者も家族のように助け合いながら働ける職場づくりに力を入れている。社員が幸せになる会社を目指しながら、黒字経営も実現している。
これらの企業が障害者雇用を始めたきっかけとは何だったのか。なぜ、その取り組みを続けているのか。それを探るため、両社を訪ねた。
オムロンの企業理念に込められた思いとは
LFC株式会社は人格を磨く「学びの場」
ドキュメンタリー映画 心に寄り添う。