2月21日にフロリダ州タラハシーで行われた、銃規制強化を求めるデモの様子 (画像はKMH Photovideo / Shutterstock.com)。
《本記事のポイント》
- トランプ氏が、複雑で根深い銃問題の解決に取り組んでいる
- 中東問題でも、歴代大統領が先送りにしたエルサレムの首都認定に踏み切った
- トランプ氏は、具体的な行動でアメリカが抱える問題を解決しようとしている
ドナルド・トランプ米大統領が、アメリカの銃問題解決に取り組んでいる。
2月に高校生ら17人の犠牲者を出したフロリダ州の銃乱射事件を受け、トランプ氏は2月28日(現地時間)、連邦議員と銃規制についての会合を開いた。
そこでトランプ氏は、58人の命を奪った昨年のラスベガス銃乱射事件で使用された、銃の連射を可能にする改造装置「バンプストック」を、大統領令で禁止すると発表。さらに、銃購入年齢の18歳から21歳への引き上げや、購入者の経歴や精神疾患の確認強化など、包括的な銃規制の法案を成立させるよう議会に求めた。
「待ってごまかすことでは、何も達成できない」
銃規制に積極的な姿勢を示す一方で、トランプ氏は教師に銃を所持させて生徒を守る考えも示している。「一貫性がない」と批判する声もあるが、アメリカの銃問題は一筋縄で解決できるものではない。
第一に、アメリカでは、憲法によって銃の保持が認められている。歴史を振り返ると、先住民の襲撃などから、身を守るために銃が必要不可欠だった。そのため、銃の保持が国民の権利として認められており、銃規制は「自由の侵害」を意味している。
さらに、銃乱射事件を事前に察知した国民が、犯人を射殺して事件を阻止した事例もあるなど、「銃規制によって善良な市民が無防備になる」という主張にも一理ある。
第二に、銃問題の背景には、イデオロギーや既成権力の対立がある。集票力や資金力で政界に強い影響力を持つ銃ロビー団体「全米ライフル協会(NRA)」はその代表例だろう。
他方で、銃規制の強化を呼びかける団体も存在する。NPO団体「すべての街に銃規制を」は、職場への銃の持ち込みを容認する企業の商品をボイコットするなど、真っ向からNRAの方針に反対。銃規制の反対派と推進派が平行線のまま、議論が進まない状況だ。
こうした単純な二元論で解決できない問題に、トランプ氏は真正面から取り組もうとしているようだ。
「我々は何かしなければならない。行動しなければならない」「待ってごまかそうとすることはできない。それでは何も達成できない」
28日の会合で、トランプ氏は集まった超党派議員たちにこのように語りかけた。この言葉からも、問題を先送りするのではなく、具体的な行動で問題を解決するという、トランプ氏の信条がうかがえる。
より「ベターな道」を模索する
そうした信条を示す別の象徴的な例が、エルサレムの首都認定だろう。
トランプ氏がエルサレムをイスラエルの首都として認定すると公表した際、中東に新たな火種を生むとして非難の声があがった。
しかし、実は、ビル・クリントン氏やジョージ・W・ブッシュ氏、バラク・オバマ氏などの歴代大統領も、エルサレムの首都認定を選挙公約に掲げていた。ところが、多方面からの批判が予測され、実行せずに任期を終えている。首都認定は、選挙のたびに公約として掲げられながらも、20年以上問題が先送りにされてきた経緯がある。
こうした現状に対して、トランプ氏は次のように述べて首都認定を決めた。
「私は大統領に就任した時に、(イスラエル・パレスチナ問題という)世界の難問に対して、新しい考え方で見直すと約束した。私たちは、解決しなければならない問題があると、すでに失敗している考え方やうまくいかなかった戦略を繰り返しがちだが、それでは解決できない」「全く同じ考え方を繰り返すことで、今度は違う、もっと良い結果が出ると期待するのは、愚かなことではないか」
銃規制の問題にしろ、中東問題にしろ、トランプ氏が現状を少しでも改善するために、具体的な行動を起こしていることは確かだ。決して、先送りや現状維持をよしとはしない。
党派やイデオロギーの対立を超えて、より「ベターな道」を模索する。それが、トランプ流と言えるだろう。
(片岡眞有子)
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