1920年にパレスチナの中心都市エルサレムで、反シオニズム運動を行うアラブ人の群衆。
《本記事のポイント》
- イギリスの「バルフォア宣言」から100年を迎え、イスラエルとイギリス両首脳が会談
- 欧米諸国の中東への介入が、今のパレスチナ・イスラエル問題のきっかけをつくった
- 世界宗教同士の争いを融和し、一つに統合する新しい教えが求められている
パレスチナ地域でのイスラエル建国を支持したイギリスの「バルフォア宣言」から、11月2日で、100年を迎えた。イスラエルのネタニヤフ首相は同日、イギリスのロンドンでメイ首相と会談し、両国の関係強化などについて協議した。
バルフォア宣言とは、1917年11月2日、イギリス外相のアーサー・バルフォアが、パレスチナに故郷を再建することを目指す「シオニズム運動」を、イギリスが支持を表明した宣言のことを指す。バルフォアは、同運動の財政的な後援者で、ユダヤ系のロスチャイルド英上院議員にあてた書簡でこの宣言を行った。
イギリスがイスラエル建国を支援した目的は、当時敵国だったオスマン・トルコに対する作戦基地を確保すべく、ロスチャイルドをはじめとするユダヤ人の協力を得たかったためとみられている。
パレスチナはイギリスに謝罪とパレスチナ国家の承認を求める
1917年以前にも、ユダヤ人はパレスチナに住んでいたが、パレスチナ人と平和的に共存していた。だが、バルフォア宣言をきっかけにイスラエルが建国されたことが、今も続くパレスチナ紛争の引き金となった。
そのためパレスチナ自治政府は、イギリスにバルフォア宣言の謝罪と、パレスチナ国家の承認を求めている。だがメイ首相は、先週開かれた議会で「イスラエル建国においてわが国が果たした役割を誇らしく思う」と正当化し、謝罪を拒否した。
パレスチナ側からイスラエル建国を見れば、あまりにも理不尽なことばかりだ。
イギリスなどの欧米諸国がイスラエル建国を支持し、国連の"お墨付き"を受け、大勢のユダヤ人がパレスチナに入植した。すると、イスラエルはその後、次々と領土を占領し、パレスチナ人を追放していった。2008年には、パレスチナ人の居住地「ガザ地区」をイスラエルが急襲するという事件も発生。現在もイスラエルとパレスチナとの間では、対立が続いている。
宗教の違いを乗り越える新たな教えが必要
イスラエル建国の歴史を見ると、イスラエル・パレスチナ問題の背景には、欧米諸国の政治的な思惑や無責任な介入があった。今になってイギリスが謝罪したところで、現在のイスラエル問題が解決するわけではないが、こうした歴史を繰り返さないためにも、欧米諸国は過去の歴史を反省する必要がある。
さらに、イスラエル・パレスチナ問題の背景には、ユダヤ教を信じるイスラエル人と、イスラム教を信じるアラブ人との宗教対立という側面もある。
大川隆法・幸福の科学総裁は、著書『信仰告白の時代』の中で、ユダヤ教について次のように述べている。
「 『旧約聖書』を読めば、(古代イスラエルの指導者である)モーセを導いた神は、『カナンの地を自由に奪い取ってよい』『イスラエル以外の民族を打ち殺して、土地を奪ってよい』と教えています。きわめて偏狭でナショナリスティックな指導をしています。オールマイティーの神ではありません 」
さらに大川総裁は同書で、ユダヤ教は主に民族神が説いた民族宗教であるとした上で、「 民族神は、全世界を創り、全世界の人びとを幸福に生かすことはできません。民族神の使命は、限られた民族の幸福を願うことです。その民族神の上に、全民族、全世界の人びとを幸福に導こうとしている霊人たちがいます。これが霊界のほんとうの姿なのです 」とも述べている。
世界では、宗教対立による憎しみや争いが絶えない。そのため残念なことに、宗教が持つ救済力よりも、「紛争の種」という面がクローズアップされがちである。
ユダヤ教だけでなく、キリスト教とイスラム教の対立によるさまざまな問題を見るにつけても、既存の世界宗教に、本当の意味での救済力が十分ではない。世界宗教の争いを融和し、一つに統合していく新たな教えが今、必要とされている。
(小林真由美)
【関連書籍】
幸福の科学出版 『信仰告白の時代』 大川隆法著
https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=163
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