《本記事のポイント》
- 北朝鮮が電磁パルス攻撃の可能性を示唆した
- 電磁パルス攻撃によって、日本に壊滅的な被害が出る可能性が高い
- 日本は、抑止力として電磁パルス攻撃などの能力を高めるべき
北朝鮮・朝鮮労働党の機関紙である労働新聞は9月上旬、次のように電磁パルス(EMP)攻撃を示唆した。
「我々の水素爆弾は巨大な殺傷破壊力を発揮するだけでなく、戦略的目的によって高空で爆発させ、広範囲の地域について強力な電磁パルス攻撃まで加えることのできる、多機能化された熱核弾頭を備えている」
電磁パルス攻撃とは、まず核弾頭を搭載した弾道ミサイルを発射し、高度30~400キロの上空で核爆発を起こす。そして、その際に生じる強力な電波、電磁パルスが地上の電子機器に内蔵されるIC(集積回路)などを損壊するもの。人体は傷つけないという。
電磁パルス攻撃されたら、日本は壊滅的な被害を受ける
電磁パルス攻撃がされた場合、同時に大規模な停電が発生すると予測されている。電話やインターネットなどの通信、ガス、水道の供給が停止したり、航空機が操縦不能になったり、電力を絶たれた原子力発電所が制御不能に陥ったりする恐れも指摘される。
影響範囲は、高度100キロで広島型原爆の3分の2に相当する10キロトンの兵器の場合、日本全土をほぼ覆う。その復旧には数年を要し、経済被害は最悪で数百兆円に達するという。また、各種インフラが停止し、まるで「原始時代の生活」のようになる。その結果、食糧不足や病気などによる死傷者は、数百万人に上ると言われている。
「停電くらいの被害に過ぎないのでは」という意見もあるが、軽く見てはならないようだ。しかも、この甚大な被害を及ぼす電磁パルス攻撃を防ぐ、有効な手立てはないのが現状だ。
電磁パルス攻撃後に、生存率を上げる方法
そんな中、平時から民間でできる対策としては、重要なインフラに電磁波の遮蔽機能を施すことくらいだろう。
また、災害への対策と同様に、電池などで動く照明機器やラジオを用意し、情報収集できる無線機を準備しておくこと、自転車などの移動手段や、調理器具や食材も確保しておくこと。また、各地方自治体で発行されている災害発生時の基本行動をよく読んでおき、普段から地域共助の仕組みをつくっておくなどが重要だ。
また、Jアラートがなった時、次のような避難行動をとることで、救命率が高くなる。
日本も、電磁パルス爆弾の保有を
北朝鮮が電磁パルス攻撃を行うと示唆したのなら、少なくともその可能性があるということ。すなわち、北朝鮮に宣戦布告されている状態と言える。核兵器に抵抗がある日本は、抑止力として非核型の電磁パルス爆弾を持つことで、すぐにでもその攻撃に備えるべきだろう。
また最近、アメリカでは「北朝鮮の核保有」を認める声も上がっている。米オバマ政権で大統領補佐官(国家安全保障担当)を務めたスーザン・ライス氏は、8月10日付のニューヨーク・タイムズ紙で「北朝鮮が核兵器を放棄する可能性は低い。北朝鮮を事実上の核保有国と認めつつ、核実験や使用を抑制させるべきだ」と指摘した。
ならず者国家である北朝鮮に核保有を認めるのなら、同盟国である日本が核を持っていけないことはないだろう。実際、アメリカ内でも日本の核装備論が広がりつつある。日本の技術力があれば、1年以内に核兵器は保有できるという専門家の意見もある。北朝鮮の「日本列島の4つの島を核爆弾で海中に沈めるべきだ」という声明を機に、日本は真剣に国を守る態勢を構築しなければならない。
(山本泉)
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