《本記事のポイント》
- 北朝鮮のミサイルが日本の上空を通過
- 「最も強い言葉で非難」することしかできない日本
- 「核シェアリング」で抑止力を向上させるべき
北朝鮮が29日に発射したミサイルが、北海道上空を通過し、襟裳岬から1180キロの太平洋上に落下した。
政府は、昨年8月からミサイルの破壊措置命令を自衛隊に発令しているが、国内に落下する恐れはないとして迎撃を見送ったという。自衛隊法82条の3で、ミサイルが「落下による我が国領域における人命又は財産に対する被害を防止するため必要があると認めるとき」などと規定されているためだ。
北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党委員長は、新型中距離弾道ミサイル「火星12」の発射訓練だとし、29日が日韓併合から107年に当たる日であることから、「残虐な日本が仰天する大胆な作戦」と指摘。米韓合同軍事演習「乙支フリーダムガーディアン」への対抗措置であるとも述べ、アメリカへの対抗姿勢を示した。
日本は相変わらず、非難しかできず
読売新聞は社説で「『火星12』をグアムではなく、日本に向けて撃つことで、米国による迎撃を避けようとしたのではないか」との見方を示している。裏を返せば、「日本は反撃してこないから撃ち放題である」と、北朝鮮が判断しているということか。
事実、日本政府は、ミサイルが国土の上空を通過しても、「最も強い言葉で非難」する程度しかできないでいる。報復能力はアメリカ頼みであり、日本が取り得る選択肢は少ない。
ミサイルを迎撃できたとしても、もし核やサリンなどを搭載していれば、国内に被害が及ぶことは避けられない。このままだと、何万人もの人々の命を失うことになりかねない。
そもそもミサイルを撃たせないことが必要
ではどうすれば、国民を守れるだろうか。
最も重要なのは、そもそも「北朝鮮にミサイルを撃たせない」ことだ。そのためには臨時予算を編成し、トマホークミサイルなどを調達し、「敵基地攻撃能力」の確立を急ぐ必要がある。
しかし、巡航ミサイルを配備しても、実戦で使うには時間を要する。隊員の練度の向上や、ミサイルを搭載できるように艦船の改修などが必要になるためだ。
日本独自の報復能力を高めつつも、北朝鮮がアメリカ本土に届く核兵器を完成させる前に、同国の暴走を食い止める抑止力を持たねばならない。そこで有効な手段であるのは、アメリカとの「核シェアリング」だ。これであれば、非核三原則を撤廃すれば、すぐにでも可能であり、抑止力を高められる。
非核三原則や現行憲法を守って、国が滅んではならない。報復能力を確立しつつも、憲法9条の改正や非核三原則を撤廃するなどして、「自分の国は自分で守る体制」を整えなければならない。
(HS政経塾 須藤有紀)
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