今年、創立100周年を迎える理化学研究所。これまでに様々な研究や研究者を世に送り出し、日本の繁栄を支えてきました。
「富国強兵」を掲げて、欧米の技術を日本に取り入れようとした明治時代。しかし、日本独自の研究開発や基礎科学の進歩は大きく遅れたままでした。
「日本固有の、少なくとも東洋固有の材料もしくは事業を研究しなければ、日本の産物を世界に広く売り広めて、富を得ることはおぼつかない」
欧米に渡航し、海外の研究事情を見てきた研究者たちからこのような声が上がり、「国民科学研究所」をつくることが提唱されました。優秀な学者の指導のもと、産業の芽となる基礎研究を行うという構想です。そして1917年、この構想が「財団法人理化学研究所」として結実します。
その理研が最も発展したのは、大正から昭和にかけて、研究成果が次々と富を生み出していた時期のことでした。その秘密は、研究者たちの「発明」を富の源泉と考える発想と、リーダーの経営手腕にあったのです。