「中国の民主化」と聞くと、遠い未来の話のように感じる人も多いかもしれない。中国の研究者や専門家の中でも、中国の民主化の可能性については、「難しいのではないか」「このまま共産党による一党独裁体制が続くだろう」という見方が一般的のようだ。
大川隆法・幸福実現党総裁は4月30日、東京都内のニッショーホールで、「立党8年目の真実」と題して講演を行った。その中で、現時点では習近平氏と協調姿勢を見せているトランプ米大統領が、北朝鮮問題を終わらせた次には、経済的・軍事的に、中国の覇権を潰すつもりだと述べた。
この流れを見越した上で、「 北朝鮮の政権は崩壊すると思いますが、崩壊する過程において、それだけで止まらずに、それを中国の民主化・自由化につなげていくことが大事だと思います 」と、思想的な包囲網を形成することの重要性を指摘した。
この「中国の民主化」というテーマに正面から向き合い、その未来を歴史的な経緯から読み解く一冊の本が発刊された。幸福実現党の総務会長兼出版局長を務める矢内筆勝氏の『かくて中国は民主化する―中国共産党の「不都合な真実」』だ。
対談や漫画で分かりやすく学べる
同書の冒頭には、元共産党エリートで『月刊中国』編集長・鳴霞氏との対談が収録されている。対談では、「暴力」と「恐怖」による中国共産党の支配の歴史や、中国の民主化の可能性、日本が果たすべき使命について熱く語られた。さらに、自由を求める国民を弾圧してきた中国共産党の歴史を漫画で分かりやすく学べる内容となっている。
約100年間の「中国の民主化」の流れを俯瞰
本編では、「欧米型の民主化」と「中国の民主化」の違いを区別しながら、中国における「民主化」の動きを中華民国建設からの約100年間のスパンで俯瞰している。
具体的には、欧米の民主主義思想に感化された孫文による辛亥革命(1911年)を起源とする中国の民主的な思想が、毛沢東政権の誕生で一気に社会主義化する流れを追っている。さらに、毛沢東とトウ小平という二人の共産党指導者によって民主化運動が弾圧された歴史を振り返り、中国共産党にとっての「民主政治」とは「一党独裁体制の維持・強化」を意味することを指摘。
さらに、一党独裁という非民主的な政治体制の結果として、汚職と腐敗、貧富の格差などの社会問題が国内に蔓延する現代の中国にも触れている。現代の中国では、インターネットの急速な普及により、共産党の支配に抗議し、民主化を求める新しい運動が起き始めていることを指摘している。
同書を読み終える頃には、かつて孫文によって中国大陸に撒かれた「民主化」を求めるエネルギーが、現在の中国国民の中に、マグマのように蓄積されていることが実感できるだろう。
その膨大なエネルギーが今後、どのような形で噴出するのか、隣国に住む日本人がどのように関わるべきなのか、など考えさせられる一書だ。
【関連サイト】
矢内筆勝 公式サイト
http://yanai-hissho.hr-party.jp/
【動画チャンネル】
やない筆勝の「国防最前線!」
【関連書籍】
幸福の科学出版 『かくて中国は民主化する―中国共産党の「不都合な真実」』 矢内/筆勝著