新渡戸稲造の著した『武士道』が世界で評価され、日本への評価を高める一助となったことは、多くの日本人の知るところです。しかし、その二十数年後、日本人女性による『武士の娘(A Daughter of the Samurai)』という書がアメリカでベストセラーとなり、その後七ヶ国語に翻訳されたことは、あまり知られていません。

本欄では、『武士の娘』の著者・杉本鉞子(えつこ)の人生と、作品が与えた影響について見てみたいと思います。