広く「偉人」と称される人々は、献身的な妻に支えられていることが多いです。しかし、そのような内助の功は、往々にして語られることが少ないもの。本欄では、そうした「妻」に焦点を当ててみたいと思います。
今回は、19世紀・ヴィクトリア朝時代のイギリスを代表する思想家トーマス・カーライルを支えた妻ジェーンの生き方に学びます。
カーライルの代表的な著作には、『英雄崇拝論』『フランス革命史』『衣装哲学』などがあり、「世界の歴史は英雄によってつくられる」という格言で知られています。『武士道』を著した新渡戸稲造や台湾の李登輝元総統も、カーライルの書を愛読し、影響を受けています。
しかし、後に大作家として賞賛され、イギリスの名門・エディンバラ大学の学長にも任命されたカーライルですが、その成功は決して予見されたものではありませんでした。