子どもの学力低下への危機感が高まるアメリカでは、教員の質を確保するために、終身雇用制度を廃止しようという動きが始まっている。

1日付の米紙ニューヨーク・タイムズによれば、フロリダやアイダホなど少なくとも5つの州では州知事がイニシアチブをとり、終身雇用廃止に向けた法案が作成されている。そもそも教員の終身雇用は、性別や人種による不当な教員解雇を防ぐ目的で20世紀初頭から広がったものだが、資質に疑問のある教員を処分する際の障壁となる面もあった。アメリカでは生徒の成績や成長に連動する教員の査定を求める動きが活発化しているが、その流れが教員の雇用にまで及んでいることになる。雇用制度にメスを入れることにはアメリカでも教員労働組合の反発が大きいが、民間企業の常識である能力・成果ベースの評価を教育の場に求めるのは、実に健全な改革の流れといえる。

日本では、根強い日教組の政治的影響から、終身雇用と年功序列の安泰なシステムのもと、いまだに学力テストの実施についてすら異論が噴出する状況だが、アメリカとの危機感の落差はあまりに大きい。大規模な教育改革の議論は下火になったままだが、国家の命運すらかかる教育の質の問題に、いつまでも目を背けているわけにはいかないだろう。

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