東京五輪の開催費用などを検証する調査チームが、総費用が3兆円を超える可能性があるとする1回目の調査報告を9月29日に公表した。調査チームは「現在の体制は、社長と財務部長がいない会社と同じだ」とし、大会を統括すべきトップの不在が、予算の膨張を招いていると指摘した。

司令塔不在による予算の膨張は、東京都に限らず、国にも同様のことが言える。そのため、政治家に責任を求めるのではなく、むしろ、「官僚(国家公務員)がこの国を悪くした」などの批判もある。こうした社会的な背景によって、2009年には「脱官僚支配からの脱却」を掲げた民主党政権が誕生した。

しかし、そもそも官僚とは何であるのか。そして、批判を受ける官僚機構は必要な存在であるのか考えてみたい。

官僚制は最も合理的な組織

まず学説では、官僚制についてどう説明されているのだろうか。

官僚制とは、上意下達の指揮命令系統や、規則などに基づき、人間が活動を行うシステムを言い、近代社会で広く見られる組織のことだ。日本では、「官僚制=国家公務員」とのイメージがあるが、もともとはそういう意味ではない。