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日本銀行は、21日に行った金融政策決定会合で、国債の長期金利の水準をコントロールするための「金利ターゲット」を導入することを決めた。
これは、金融緩和を一段と進めるというメッセージを示しつつ、マイナス金利政策によって、長期金利が下がり過ぎる現象を是正する"配慮"の狙いがある。これまでは市場にお金を流すために国債を買う量を増やしてきたが、今後は、長期金利の動向を見ながら国債を買う量を調整する。事実上の政策姿勢の転換となる。
ただ、国債の購入は現行の年間80兆円をメドにしながら、物価水準が適正値と位置付ける2%を超えるまで続けることも発表。マイナス金利は、現行の「マイナス0.1%」を維持するとした。
国債の大量購入が「限界」に近づく
日銀の金融政策は、金利政策、公開市場操作、支払準備率操作の3つに大別される。
このうち、かつては金利政策が中心だったが、「金融の自由化」によって、金融商品などに対する政府の規制が緩和・撤廃されたことで、日銀は、市場に直接的な影響を与えることができなくなった。そのため1990年代半ばからは、2つ目の公開市場操作を重視している。
日銀は、公開市場操作を通じて、金融市場で国債や手形を売買し、市場に資金を供給することで、景気刺激を狙ってきた。特に、黒田東彦総裁が就任して以降は、「異次元緩和」という名目で、この手法に力点が置かれた。
だが今や、日銀が保有する国債量が、発行されたすべての国債のうち、3分の1を超え、市場に出回る国債が減りつつある。その保有金額も、16年3月末時点で前年比32.7%増の364兆円にもなる。つまり、このやり方が「限界」を迎えようとしている。
大川総裁が6月の講演会で指摘していた
大川隆法・幸福の科学総裁は今年6月、北海道苫小牧市で行った講演会「勇気ある決断」で、次のように指摘していた。
「 2017年には、日銀の国債の引き受け、つまり国債を引き受けて、代わりにお金を流通させているわけですが、これが500兆円に達するはずです。500兆円というのは日本のGDP、つまり『日本人の経済活動によって生まれる売上』と同じ額です。これはどう考えても危険水準に達しているわけです 」
今回、日銀の黒田総裁は会見で、「これまでの枠組みを強化したわけで、量でも質でも金利でも十分、今後も対応できる」とあくまで強気だが、「市場に出回る国債が少なくなると、金利の引き下げ効果が強くなってくる可能性はある」と述べ、国債購入の"弊害"も認めている。
マイナス金利効果は"限定的"
また、マイナス金利について本誌は、銀行の収益を圧迫するなど、資本主義社会に弊害をもたらすため、反対の立場をとっている。しかし、仮に、マイナス金利政策が効果的だったとしても、日銀の思惑通りに機能しているかは疑問だ。
政策の導入以降、住宅ローン金利などが過去最低レベルに低下したことで、マンションなどの不動産投資は拡大した。だが、経済を浮揚させる肝心の設備投資や個人消費は活発化しておらず、企業と庶民の財布は依然として固いままだ。
日銀は、マイナス金利のさらなる拡大も辞さない姿勢を見せているが、その効果は「限定的だった」と言える。
消費増税は日本をデフレに突き落とす
金利政策や量的緩和などの金融政策で景気の向上を目指すのは必要なことだが、それが全てではない。数字の操作ではなく、実際に消費や投資を増やさなければならないが、政府は真逆へ向かう消費税増税を2014年に実施してしまった。日銀も、物価が上昇しない原因として2014年の消費増税の影響があることを認めている。
日本人はもともと、「質素倹約」を美徳とし、旺盛な消費を控える国民性がある。いわば消費税は、消費すれば罰金が科されるようなもので、倹約家が多い日本に合わない税制。そんな税金が引き上げられれば、当然、お金を使わないようになり、景気が良くなることは難しい。返す返すも、消費増税の誤りが悔やまれてならない。
(山本慧)
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