アメリカではいまだに、人種差別の問題がくすぶっています。黒人が警官に殺害される事件が起きる度に、全米各地で「ブラック・ライヴズ・マター(「黒人の命だって大切だ」)」運動という大規模なデモが巻き起こり、大きな社会現象となっています。

アメリカには、今でも多くの若者から支持される人がいます。

「黒は美しい」 ――この言葉をアメリカの歴史に残したのは、黒人公民権運動のリーダー、マルコムX(1925~65年)です。

彼は、「急進的で攻撃的」「白人社会への同化を拒み、分離独立を目指した」といわれる、ブラックムスリム(黒人イスラム教徒)のカリスマです。

同じ時期には、白人と共存する夢を抱き、あくまでも非暴力で差別と戦った黒人公民権運動の指導者のキング牧師がいます。融和的なキング牧師とは対照的に、マルコムXは白人の人種差別を徹底的に糾弾する運動を展開しました。

マルコムXの波乱万丈に満ちた人生は、「気づき」と「変化」の連続でした。