アメリカの格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が8年ぶりに日本国債を格下げした。「AA」から「AA-」に一段階を引き下げ、上から4番目の評価とした。ギリシャ危機が波及して財政に不安があるスペインよりも格下で、サウジアラビアや中国と同じ格付けだ。28日付け日経新聞によると、格下げの理由は「財政赤字が今後数年にわたって高止まりする」ことだという。

財務省が26日に、国債と借入金、政府短期債を合わせた債務が2011会計年度末までに約998兆円に増え、過去最高を更新すると予想している。新聞では、この巨額の負債を問題する報道が目立つが、債務の大きさ自体は今に始まったことではない。それよりも、成長戦略が不明瞭であることと、増大する一方の社会保障費をどう抑制するかの方向性が見えないことが、格下げの原因としては大きいだろう。

民主党政権は再改造内閣を発足させるにあたって、政権公約の見直しに入りつつあるが、財政が肥大化する一方という印象は拭えないままだ。「稼ぐ」ことよりも「使う」ことばかり考えている民主党の姿勢が、財政の見通しを暗くしていることに一刻も早く気づくべきだ。(村)

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