2016年8月号記事
2016.11.8 アメリカ大統領選
「トランプ大統領」は怖くない
日本にとって大チャンス!
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「トランプ大統領」が怖くない理由
もしもトランプ氏が大統領になったら、アメリカはどうなるのか。
はたまた日本の運命は?
(編集部 小林真由美、冨野勝寛)
「アメリカが攻撃されても日本は何もしないなんて不公平だ!」
「巨額の資金を日本の防衛に費やす余裕はない!」
そう吠えるトランプ氏が大統領選の"決勝戦"に勝ち進んだことに不安を覚えるのは、防衛をアメリカに頼る日本人として当たり前のことかもしれない。
正直さと経営手腕に期待感
しかし少なくともトランプ氏は、当初言われていたような差別主義者ではない。
「メキシコとの国境に壁をつくる」という発言は、不法移民を問題視したものであり、「イスラム教徒入国禁止」発言も、テロの脅威から国民を守る姿勢を示している面がある(詳しくは弊誌4月号)。
それよりも 彼の個性として際立っているのは、「正直さ」だ。
ニュージャージー州在住の50代男性は、「彼は正直で、時々、残酷なまでに正直。ここが私の尊敬する彼の資質で、アメリカを代表していると感じるよ」と語る。
特に、「イラク戦争は大量破壊兵器があるとウソをついて始めた」と、共和党の大統領であるブッシュ氏を罵倒したことには誰もが仰天した。 政治家のウソにうんざりしている米国民は、この正直さを求めている。
もう一つ、支持を集める大きな理由が、経済政策だ。
カリフォルニア州在住の60代女性は、「私も商売をしていたから、彼の考えを理解できるわ。彼ならアメリカ経済を再生してくれる」と期待する。
トランプ氏の経済政策は、減税し、自由競争を促す「小さな政府」が基本だ。 最富裕層を含むすべての国民の減税で、国民が自由に使えるお金を増やす。
また、 道路や橋、空港などのインフラ再建を訴えている。
「私はアメリカ中の道路が建設されるのを見てきた。そして私なら、3分の1のコストでこれらのインフラ建設ができる」
まさに不動産王ならではの確信だ。インフラによって人やモノの流れが活発になれば、その土地の経済が活性化することを熟知している。 経済を復活させる方法を知っているのだ。
ヒラリーなら米中同盟も?
外交に関しては、トランプ氏は外国の問題には関わらない「孤立主義者」と言われており、冒頭の発言からはそう見える面もある。しかし、「他に選択肢がないときは、私は軍事力を使う。だがそれは、アメリカが勝つ戦いだ」と述べるなど、必ずしも「孤立主義者」とは言えない。
一方の ヒラリー氏が大統領になった場合、日本にとって憂慮すべきは、米中関係だ。 1990年代、アメリカが中国と関係を深め、「ジャパン・パッシング」したのは、夫のビル・クリントン大統領。「ヒラリー大統領」になれば、中国寄りの考えを持つ当時の政権スタッフも戻ってくるだろう。ヒラリー氏自身も、「アメリカにとって最も大事なのは中国との関係」と発言している。下手をすれば、「米中同盟」という事態にもなりかねない。
偉大なアメリカとは?
アメリカも考えを変える時
主な争点の考え方