2015年11月に打ち上げた「H2Aロケット」29号機。©JAXA

2016年8月号記事

未来産業のたまご

第6回

月が「最寄駅」になる時代

日本の宇宙技術は、世界の中でどのレベルにあるのか。
国立研究開発法人・宇宙航空研究開発機構(JAXA)に聞いた。

JAXA・広報部長の庄司義和氏。

宇宙飛行士の大西卓哉さんが7月、宇宙に旅立つ予定だ。国際宇宙ステーション(ISS)に約4カ月滞在し、実験などを行う。この大西さんが所属するのが宇宙航空研究開発機構(JAXA)。日本の宇宙開発をけん引している。

JAXAで広報を担当する庄司義和氏は開口一番、こう切り出した。「まず、『ひとみ』の失敗について、おわびしたい」。

JAXAが中心となって開発したX線天文衛星「ひとみ」が2016年2月に打ち上げられたが、通信が途絶え、4月に運用を断念した。原因は、設計から運用までを含む、複合的なものだった。大型で複雑なプロジェクトをマネジメントするにあたっての課題が浮き彫りになった。しかし日本に、宇宙分野で「世界一」になるかもしれない高い技術力があるのも事実。将来お金を産む可能性があるだけでなく、防衛力の向上にもつながる。