民主党と共和党ともに指名候補がほぼ確定してきたアメリカ大統領選。7月の党大会での正式指名、その後の本選に向けて、舌戦が続いています。

そんな中、共和党の大統領候補ドナルド・トランプ氏が「最低賃金引き上げへの支持」を表明しました。同氏は 8日のNBCの番組「ミート・ザ・プレス」で「(現在の連邦最低賃金の)時給7ドル25セントで、どうやって生活しろと言うのか」と述べ、最低賃金を導入すべきだとしています。

しかし、最低賃金の公約といえば、民主党の十八番。自由を大切にする共和党で民間企業の賃金に口を出す発言は異例です(※)。

こうした、政府の側が民間企業に命令を出して、最低賃金や残業代等を払えと決定できるという考えには問題があります。その問題点について、2回に分けて解説していきます。

(※)ただし、トランプ氏は、「この問題については各州の決定に委ねる」とも付け加えており、民主党のヒラリー・クリントン氏やバーニー・サンダース氏が掲げる連邦レベルでの法定最低賃金とは異なります。

(1)失業者が増える

まず、政府が最低賃金を設定すると失業者が増えるという点です。