長崎県にある孔子廟・中国歴代博物館。
「江戸時代」と聞いて、どのようなイメージを持つだろうか。
「戦争のない平和な時代」
「商人や芸能文化が栄えた」
「鎖国をしていた」
「いや、重税に苦しむ暗黒の時代だ」
人によって、さまざまな印象があるだろう。
特に、筆者が注目したいのは、当時、儒教の朱子学や陽明学に加え、日本的な水戸学、国学などの数多くの思想が誕生していた点だ。
上智大学名誉教授の渡部昇一氏は、「歴史を虹のように見る」ことを勧めている。無数にある歴史的事実に対して、特定の視点と距離をとれば、そこに虹が見えるというのだ。
無数にある当時の学問も、大きな流れをつかめば、ざっくりと理解ができる。そこで本欄では、バラバラに見える江戸時代の思想を、一つの虹のように見てみたい。
明治維新は「思想」によって起きた
江戸時代と言えば、この時代のクライマックスである「明治維新」に注目されることが多い。