2014年度に発覚した、介護職員による高齢者への虐待が、過去最多の300件だったと、厚生労働省がこのほど発表した。虐待の被害者のうち、77.3%が認知症の高齢者だったという。
知識不足からの虐待
虐待の内容を見ると、殴る蹴るなどの「身体的虐待」が71.9%、暴言を吐くなどの「心理的虐待」は48.6%だった。虐待の理由は、認知症への理解不足といった「教育・知識・介護技術などに関する問題」が62.6%で、次点の「職員のストレスや感情コントロールの問題」の20.4%を引き離している。
厚生労働省は、職員の研修や職場環境を改善する必要があるとしている。介護知識や高齢者虐待防止法の研修を義務化する提案もある(6日付読売新聞)。
介護施設でのケアに携わる以上、介護や認知症に関する専門的知識が必要となる。職員は有資格者だけではないため、研修を必須にして、専門知識の定着に取り組むことは当然の対応だ。
ただ、根本的に介護における虐待をなくすには、認知症の本質を理解することが必要だ。