菅義偉・官房長官がこのほど、沖縄県に駐留している米海兵隊の移転先である米領グアムを訪問した。
日米は在日米軍再編計画の一環として沖縄に駐留している海兵隊のグアム移転に合意しており、4000人程度の移転を予定している。今回、菅氏は、海兵隊員の受け入れ先である空軍基地を視察し、移転事業に関わる議員らと会談した。
官房長官の外遊は2003年の福田康夫氏以来と、極めて異例なもの。この背景には、来年1月の宜野湾市長選や6月の沖縄県議選、参院選を見据えて、基地の負担軽減に取り組む姿勢を沖縄の有権者に広くアピールする狙いがあると見られている。
日本の国防が危ういのに大丈夫!?
だが、日本の国防が危うくなっている今、沖縄から米軍が出て行く流れをアピールして票につなげようという姿勢には疑問を抱かざるを得ない。
中国は、アジアインフラ投資銀行(AIIB)の設立やEU各国への投資などで、多くの国々と関係強化を図りつつ、南シナ海に人工島をつくってアジア支配の足場を築いている。もちろん、そこには沖縄や台湾の侵略も含まれている。
中国との統一を目指す、台湾マフィアの元幹部が沖縄を訪問
その沖縄で、少々気になる出来事があった。台湾マフィアの元幹部・張安楽氏が10月15~18日ごろにかけて沖縄を訪れ、指定暴力団旭琉会と接触していたのだ。張氏は、台湾と中国の統一を目指す「中華統一促進党」を率いる人物。台湾の関係者や沖縄県警は、張氏が沖縄の暴力団との間で何かの取引を始める下地をつくっていると見ているという(29日付琉球新報)。
現在、沖縄に駐留している米軍は、中国や北朝鮮ににらみを利かせているが、海兵隊のグアム移転が進むことは、日本の安全保障環境が危険にさらされることを意味する。
こうした状況を考えれば、菅氏が本来やるべきは、沖縄の負担軽減のアピールではないはずだ。海洋進出している中国の実態や、沖縄が地政学的に重要な位置にあること、自国防衛が整うまでは米軍の協力がなければ国が失われる現実を、隠すことなく沖縄県民に説き、説得する努力が求められている。(祐)
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