中国軍事専門家

平松茂雄

プロフィール

(ひらまつ・しげお)1936年生まれ。慶應大学大学院修了後、防衛庁防衛研究所勤務。同研究所室長、杏林大学教授を歴任。専門は現代中国の軍事・外交。主な著書に、『中国はいかに国境を書き換えてきたか』(草思社)、『「中国の戦争」に日本は巻き込まれる』(徳間書店)がある。

抗日戦勝記念日の9月3日に、北京で中国人民解放軍の軍事パレードが行われたことは記憶に新しい。

パレードでは、射程1500キロの対艦弾道ミサイル「東風(DF)21D」や、射程4000キロの「東風26」をはじめとする40種類以上のミサイルや戦車など、中国軍の新型国産兵器が次々と公開された。国際社会の警戒をよそに、大軍拡を内外に誇示する中国は何を目指しているのか。中国軍事専門家の平松茂雄氏の分析を二回にわたってお届けする。今回は、その前編。

――2009年に行われた軍事パレードと比べて、特徴的な点などありましたか。

平松茂雄氏(以下、平): 今までは建国記念日である国慶節(10月初頭)に開催していましたが、それを対日戦争勝利記念日に行ったところに、中国の最も重要な意図が現れています。反日的な発言を繰り返している韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領も参列していたことも象徴的です。

――今問題になっている、中国の南シナ海への領海侵犯については?

平: 日本人は、中国の領海侵犯というとすぐに「尖閣」が浮かぶでしょう。しかし、中国の本当の狙いは尖閣ではなく、沖縄であり、台湾です。沖縄と台湾を押さえて一気に太平洋に出ようとしているのです。