2015年10月号記事

なぜ、あの店にはまた行きたくなるのか?

クレームを「明日のお客様」に変える方法

元 西武百貨店お客様相談室長
元 スターバックスコーヒージャパンCEO 直伝

いつの間にか、お客様の数が減っている。そんな時には、改めて「クレーム」に目を向けてみてはいかがだろうか。そこに、お客様を増やすヒントが詰まっているはずだ。

(編集部 河本晴恵、冨野勝寛)

あなたには、何度も行きたくなる、お気に入りの店はありませんか。一方で、利用していた店に行かなくなった経験はないでしょうか。そのとき、その理由を店側に言わないことがほとんどではありませんか。

顧客は黙って離れていくのが世の常です。だからこそ寄せられた「1件のクレーム」への対処法が会社の命運を決することがあります。その背後には、他の何十人もの不満の声や会社の問題が隠れていることがあるからです。

最近話題になったのは、「異物混入」事件に対する食品関係企業の対応の差です。

顧客の高い評価を受けたのは、「ペヤングソース焼きそば」を製造・販売する「まるか食品」。製品への「虫の混入」がツイッターなどで騒ぎになり、昨年12月から半年以上、販売を中止しました。同社はすぐに自主回収して、調査を開始。そして「混入が否定できない」ことが分かると生産ラインを徹底的に改善したのです。今年6月に満を持して販売を再開すると、品切れが続出する大ヒットとなり、同月のカップ麺の国内シェア1位を獲得しています。一連の誠実な対応が、顧客の心を離さなかったようです。

一方、有名ファーストフードチェーンは相次ぐ異物混入事件が起きたものの、対応の遅れが目立ちました。また、消費期限切れ肉の使用が発覚した後には「自分たちは被害者」という、顧客を無視するかのような発言が批判の的になりました。

このように、クレームへの対応は企業から顧客へのメッセージとなり、信頼に大きく関わってきます。次のページからのインタビューで、対応の基本やマインドを学んでいきましょう。

次ページからのポイント

インタビュー / 関根眞一氏、岩田松雄氏

お客様の声を生かすために実践すべきこと

プロの智慧など