《本記事のポイント》

  • 機関紙が対処開始時期を"更新"
  • 感染を知ってから、対策指示までのタイムラグ
  • 「生物兵器漏洩」の可能性

新型コロナウィルス(以下「武漢肺炎」)対応への批判を避けるため、北京政府は情報操作・隠蔽に躍起になっているように見える。

機関紙が対処開始時期を"更新"

北京政府は2月中旬に突然、習近平・国家主席が感染対策を最初に指示したのが、1月20日ではなく、同月7日だったと発表した。

1月21日付の『人民日報』の1面を見ると、習近平主席は前日の1月20日に「武漢肺炎」に関する重要指示を出していることになっていた。ところが、2月16日発行の『求是』(今年第4期)では、習主席が1月7日の中央政治局常務委員会会議で「武漢肺炎」流行に対応するための講話を行ったことになっていた。

周知の通り、習主席は「武漢肺炎」流行の初動対応の遅れを厳しく指弾されている。2月6日深夜、昨年12月30日に「武漢肺炎」の発症を警告し、当局に処分された李文亮医師が同肺炎にかかり死亡した。その死を契機に、習近平政権へ対する国内外からの風当たりが強まった。今度の『求是』の文章には、中国共産党が、それらの批判をかわそうとする意図が透けて見える。

感染を知ってから、対策指示までのタイムラグ

とはいえ、「1月7日」も十分に遅い。北京政府は1月3日、米国に「新型肺炎」について知らせている。さすがの習主席も、独断で米国に通知する事はないだろう。おそらく、事前に重要会議を開いて通知を決定したはずだ。その時期は、昨年内か1月元旦か2日だろうか。

さらに筆者は、中国共産党が遅くとも昨年12月8日までに、武漢市での新型ウィルス発症の情報を掴んでいたと考えている。

北京政府は、少なくとも数日、長くて1カ月近く、発症の事実を隠蔽したことになる。

「生物兵器漏洩」の可能性

情報隠蔽した意図は様々にあるだろうが、一説には「中国科学院武漢ウィルス学研究所P4実験室から人工的なウィルスが漏洩した」という話がある。つまりは、生物兵器である。一部の外国人研究者らは、「新型コロナウィルスは中国が製造した可能性が高い」と結論付けている。

同研究所は、最初の発症が報告された武漢華南海鮮市場からおよそ30キロメートルの所に位置する。したがって、たとえ研究所からウィルスが流出しても海鮮市場まではかなり遠い。しかし、武漢市疾病予防管理センターの方は、同市場まで300メートル足らずの至近距離にある。

そして、同センターでは、伝染病、寄生虫病、風土病等の予防と管理を行っている。同時に、今回の感染の一因になったと言われているコウモリのウィルスも研究しているという。

もし、ウィルス漏洩が事実ならば、北京政府は発症そのもの、あるいは、漏洩の証拠を必死に隠そうとするだろう。それが、初動の遅れを招いた可能性は否定できない。

2019年9月26日付『湖北日報』によれば、同18日、武漢税関執行委員会は武漢天河空港に緊急演習のテーマとして「国の玄関の安全、及び軍事輸送の安全運行」のための共同軍事作戦を実施している。この作戦の中で、新コロナウィルス感染処理のシミュレーションを行っている点が注目される。やはり武漢に、警戒すべき"何か"があったのだろうか。

拓殖大学海外事情研究所

澁谷 司

(しぶや・つかさ)1953年、東京生まれ。東京外国語大学中国語学科卒。東京外国語大学大学院「地域研究」研究科修了。関東学院大学、亜細亜大学、青山学院大学、東京外国語大学などで非常勤講師を歴任。2004年夏~2005年夏にかけて台湾の明道管理学院(現、明道大学)で教鞭をとる。2011年4月~2014年3月まで拓殖大学海外事情研究所附属華僑研究センター長。現在、拓殖大学海外事情研究所教授。著書に『人が死滅する中国汚染大陸 超複合汚染の恐怖』(経済界新書)、『2017年から始まる! 「砂上の中華帝国」大崩壊』(電波社)など。

【関連書籍】

『中国発・新型コロナウィルス感染 霊査』

『中国発・新型コロナウィルス感染 霊査』

大川隆法著 幸福の科学出版

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