写真:AP/ アフロ

2019年11月号記事

マスコミが報じない

香港革命

香港デモ、いや、もはや「香港革命」と呼ぶべきだろう。
「逃亡犯条例」改正案の審議をきっかけに燃え上がり、時には人口の4分の1を超える200万人が参加した。
改正案が撤回されても勢いは衰えず、世界からは、支援の声と「暴徒」との非難が入り混じる。
いったい、何が起きている?
そして、日本に何ができる?


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現地ルポ Part 2

香港市民がデモを止めない理由

香港市民は「5大要求」の実現を目指している。
これがなぜ彼らにとって死活的に重要なのか。
香港で、その理由を探った。

(編集部 長華子)

香港市民が求める5大要求

  1. 1.「逃亡犯条例」改正案の撤回 ※9月4日に撤回表明
  2. 2. 拘束された逮捕者の釈放 (本誌P.19~20参照)
  3. 3. デモの「暴動」認定の取消 (本誌P.19~20同)
  4. 4. 独立調査委員会の設置 (本誌P.20~21同)
  5. 5. 普通選挙の実施 (本誌P.23~25同)

「少なすぎて、遅すぎる譲歩だ!」

9月4日、香港の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官が「逃亡犯条例」改正案(*1)の撤回を表明した時、多くの香港市民はこう憤った。

「改正案の撤回は何も意味をなさない」と息巻く市民は、連日のように、抗議運動を続けている(9月18日時点)。

一連のデモの主目的を、単に改正案の撤回と考えていれば、デモ隊はただ文句が言いたいわがままな市民のように見えるかもしれない。

しかしそれは違う。そもそも活動家たちは、5つの要求を掲げて戦っている(上図)。「改正案の撤回」はその1つでしかない。現地で取材を進めると、逮捕者の釈放、デモの「暴動」認定の取消、独立調査委員会の設置、普通選挙の実施などの残る4つの要求が、香港市民にとって死活的に重要なことが分かってきた。

(*1)中国の司法当局の判断により、容疑者を中国本土に移送することが可能となり香港の司法の独立が骨抜きとなるものだった。