《本記事のポイント》

  • 首都圏の鉄道各社が、有料の座席指定サービスを拡充
  • 満員電車の根本解決には二階建て車両、24時間運行、モノレールなどが有効
  • 交通革命は日本の繁栄もけん引する力を秘めている

首都圏の鉄道各社が、有料の座席指定サービスやグリーン車の運行拡大などを進めている。

2日付日本経済新聞によれば、昨年末に東京急行電鉄が座席指定サービス「Qシート」を、2月22日から京王電鉄が朝の時間帯に新宿行の座席指定電車「京王ライナー」を新設するなど、都内に営業基盤を置く私鉄7社による、座席指定特急などの有料サービスが、ほぼ出そろったという。

JR東日本も、湘南新宿ラインなどに続き、23年度末からは中央線快速にもグリーン車の運行を拡大する計画だ。

首都圏の通勤・退勤時間帯の満員電車は、かねてから問題視されている。路線の多くで乗車率は100%を超え、「体が触れ合い、圧迫感がある」200%に近いほどの混雑具合を示す路線も多い。

鉄道各社の座席指定サービスなどの拡充は、乗客のニーズに応えた、評価されるべき試みと言えるだろう。

しかし、指定席には料金がかかることや、便数の増加などの拡充にとどまっていることから、"痛勤"電車の根本的な解決には至っていない。

二階建て車両や24時間運行で混雑を解消

満員電車を根本的に解決するには、どうすればいいのか。

まず提案したいのが、車両のもう一段の本数の見直しだ。車間間隔の正確な把握とブレーキ改善などによれば、電車の本数の増加も期待できると見る専門家もいる。

さらに、二階建て車両を導入すれば、単純計算で輸送力は2倍になる。できればホームも2階建てにできれば、さらに駅のホームや乗降時の混雑も緩和されるだろう。

車両内に余裕ができれば、混雑の解消だけでなく、電車内での痴漢被害や冤罪などの防止にもつながる。さらに、満員電車での使用の是非がよく議論される、ベビーカーも気兼ねなく使えるだろう。

そして、たとえ子供が泣いたり、ぐずったりしても、乗車率が低ければ、満員電車ほどのプレッシャーはなくなるはずだ。子連れ通勤が可能になれば、女性の社会復帰や、男性の育児参加を後押しできる。

交通革命で日本の発展を後押し

また、今後、時差通勤やフレックス勤務などが増加することを考えても、都市鉄道の24時間運行は必須だ。終電がなくなれば、深夜便や早朝便で到着した飛行機の乗客をスムーズに都市部に運ぶことができる。さらには羽田空港の24時間化の後押しにもなる。飛行機を使っての出張の、強い味方となるだろう。

さらに、地上や地下での鉄道運行は限界が来るが、空中はまだほぼ手付かずだ。高層ビル間をつなぐモノレールの建設も視野に入れたい。実現すれば、都市部での移動がさらに利便化し、さらなる高層ビルの建設にもつながるだろう。

これらの「交通革命」は、通勤時のストレスを軽減するだけでなく、日本の繁栄にもつながる。国の発展・繁栄に欠かせないのが、人・モノ・カネ・情報の移動速度を上げることだ。そうすれば経済規模は拡大し、国家は発展する。

満員電車の混雑解消は、日本の未来の発展にも、大きな可能性を秘めている。これらの構想が現実化できるような、日本の繁栄をけん引するリーダーの誕生を期待したい。

(駒井春香)

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